
ジェフ・ヤーキシン氏が今年8月にエコフレンドリーなクリーニングブランドであるグローブコラボレーティブ(Grove Collaborative)の実権を握った際、同ブランドは2022年後半の株価下落からの好転を果たしていなかった。第3四半期の収益が前年同期比20%減の6180万ドル(約92億円)で、年間収益予測値を2億6250万ドル(約391億ドル)から2億5750万ドル(約384億円)に数百万ドル引き下げた。
しかし、以前はズリリー(Zulily)とAmazonのCEOを務めていた新しいCEOは、オンラインの刷新、新しい商品カテゴリー、そして、顧客がよりサステナブルな選択を行えるようにするパーソナライズされたレコメンデーションによって、かつての顧客を取り戻し、会社の好転を図ることができると考えている。
「来年には黒字化を達成するということを包み隠さずに話している。このビジョンを実現するつもりだ。サステナビリティの観点から、消費財業界を変革することを目標にしているのだから、我々自身もサステナブルでならなければいけない」と、ヤーキシン氏は米モダンリテールに語った。
2012年に創設されたグローブコラボレーティブは、詰め替え用やプラスチックフリーの自社ブランド製品ラインに加え、自然派製品のオンラインマーケットプレイスも運営している。2022年6月に、SPAC(特別買収目的会社)の活動が過熱するなかで上場を果たした。しかし、評価額はその時点の15億ドル(約2240億円)から、2022年12月には時価総額7340万ドル(約109億円)へと急落し、現在もその状況が続いている。そして今年も、売上は前年比で減少し続けている。
グローブコラボレーティブは、黒字を達成するため、D2Cの販売とマーケットプレイスに20年以上の経験を持つヤーキシン氏に白羽の矢を立てた。同氏がその直前にCEOとして務めていたのは、財布に優しい母親向けマーケットプレイスであるズリリーと、Amazonが獲得したアパレルブランドのショップボップ(Shopbop)だった。
ヤーキシン氏は、グローブコラボレーティブの最新の四半期と以前の顧客に可能性の種があると考えている。第3四半期には調整済みEBITDA(利払い、税引き、減価償却前の利益)が20万ドル(約2980万円)を記録し、初めてプラスに転じた。また、全国7500店舗以上の有力ブランド製品を扱う店舗にリーチを拡大し、売上を伸ばし、D2Cビジネスへの認知度を高める戦略をとっている。同社は、過去12カ月に100万人の顧客に販売したが、ヤーキシン氏は「顧客至上主義」を貫くことで、さらに、400万人いるかつての顧客を取り戻すことを計画している。
そのための戦略として、グローブコラボレーティブのオンラインマーケットプレイスを刷新し、検索機能の強化と、よりパーソナライズされたレコメンデーション機能を搭載する。また、黒字に転じるために、前年よりマーケティングへの支出を抑え、運用コストを削減する。さらに、自社保有のブランドと、マーケットプレイスで提供するブランドの両方において、新しい家庭用カテゴリーへの拡大を計画している。
「400万人の顧客に対する顧客体験の訴求力を変化させ、これらの顧客を呼び戻し、本当にアクティブな顧客に変えることができると考えると、やる気がわいてくる。しかし、これはマーケティングチャネルやマーケティングギミックのようなもので行われるとは限らない。必要なのは、多大な価値を提供でき、サステナブルな選択を正しく行う方法について顧客に教育できるような、優れた顧客体験だ」と、ヤーキシン氏は述べている。
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The post 「かつての顧客を取り戻して黒字化めざす」:自然派ブランドのグローブコラボレーティブ 新CEOヤーキシン氏 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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