
- IABテックラボは、プライバシーサンドボックスに関するギャップ分析を実施し、プライバシーサンドボックスが40以上のマーケティングユースケースを十分にカバーしていないことが示した。
- GoogleとIABテックラボは、ミーティングを通じてこれらの課題やギャップについて話し合っており、プライバシーサンドボックスの改善をめざしている。
- ただし、GoogleはプライバシーサンドボックスについてサードパーティCookieの完全な代替ではないと明確に述べており、今回のIAB年次リーダーシップ会議でも繰り返し強調した。
サードパーティCookieの廃止により、デジタル広告の売買や配信、測定にはいくつものギャップが生じる。それに栓をするのがGoogleのプライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)なのだが、IABテックラボ(IAB Tech Lab)の分析により、それだけでそのギャップは埋め切れないことがわかった。
1月末、IABの年次リーダーシップ会議(Annual Leadership Meeting)が閉幕したのち、IABテックラボの幹部陣はGoogle側の代表とミーティングを行い、プライバシーサンドボックスの機能や欠点について話し合うつもりだと、この件に詳しい関係者6人は語った。
「年次リーダーシップ会議には、プライバシーサンドボックスの構成要素を使って、アドテクサービスの構築に取り組んでいるIABのメンバーが何人もいた。その数の多さに後押しされた形だ」と、Googleのプライバシーサンドボックスプロダクト管理担当バイスプレジデントを務めるアンソニー・チャベス氏は語る。
同氏は、「反対意見に目を向ける向きもあるが、我々としては、解決策に焦点を合わせるパートナーとの協力体制を継続していきたいと思っている。今日のプログラマティックエコシステムの確立は、いくつもの複雑な問題をもたらし、テストに関する鶏が先か卵が先かという問題を解決してきた。また、新たなユースケースをサポートするために進化を要し、その達成のため、エコシステムによる何年にも及ぶ多大な努力を要した」と話し、「プライバシーに配慮した広告で、よりプライベートなWebを構築するのも、これと大差はないだろう」と言い添えた。
プライバシーサンドボックスでは埋められない穴
今回のミーティングの焦点は、IABテックラボが実施したギャップ分析だったと思われる。この分析により、Googleが提案する現在のプライバシーサンドボックスの内容では、広告プレースメント保証や予算・請求管理をはじめとする、いくつものユースケースがカバーされていないことがわかっている。
これらの対象となったマーケティングのユースケースは、全部で40以上に及ぶ。その内容を直接知る人物(審議の内容がデリケートなため、匿名希望)によると、前述のユースケースのうちのおよそ30が、いまのところプライバシーサンドボックスでサポートされていないという。
このギャップ分析の資料を目にした別の人物は、こう語る。「最大のギャップはレポーティングにある。パブリッシャーは売上計算に必要なデータをどうやって手に入れるのか? どのくらいすぐに手に入るのか? それはうまくいくのか? こうした今後のことがはっきりしていない。レポーティングという観点からみると、広告主にとってのサンドボックスは、現状ではどちらかというと島のように孤立した存在だ。そこからわかることと、ほかのすべてのチャネルやプログラムを統合するのが難しい。これを解決する必要がある」。
IABテックラボはすでに、このギャップ分析の草稿をGoogleと共有している。今回のミーティングの目的は、IABテックラボがGoogleにこの分析結果についての正式な説明を行うためであり、GoogleがIABテックラボにこの分析結果に関するフィードバックを返すためだった。IABテックラボがGoogleに求めているフィードバックの例としては、サードパーティCookieの廃止でギャップが生じた場合、それをプライバシーサンドボックスで本当に埋められるのかという疑問への回答だろう。この点は必ずしもプライバシーサンドボックスの資料では明らかにされておらず、その実装にはある程度の考慮が必要になる。[続きを読む]
The post 「 プライバシーサンドボックス はCookieを完全に代替しない」なら、なんの穴を埋めるのか? appeared first on DIGIDAY[日本版].
Source: New feed
