
- ブランドは関税回避や購買喚起のため「メイドインUSA」を積極活用しているが、実態が伴わない場合も多い。
- FTCは誤表示を厳しく取り締まり、違反企業に21億円超の罰金を科している。
- 一部ブランドは合法表示を模索し、素材や製造工程の透明性確保に注力している。
ブランドは、品質や愛国心、そしておそらくもっとも重要な関税免除の価格を示すべく、「メイドインUSA」という謳い文句を中心にマーケティングを展開するようになっている。だが米国製と思われるすべての製品が合法的にそう主張できるわけではなく、そのラインに抵触したブランドは過去にトラブルに巻き込まれている。
トランプ大統領が4月に中国からの輸入品に対する関税を引き上げてからというもの、「メイドインUSA」商品への検索関心がここ数週間で急上昇している。Amazonの検索数は過去30日間で2万6000件から12万6000件に急増、これは以前の期間のほぼ5倍だ。米Modern Retailが以前報じたように、ブランドもこれに追随してAmazonの15万1000点以上の出品にこのラベルを追加、推定51億ドル(約7263億4000万円)の売上を達成した。しかし専門家によると、こうした動きの多くはあくまでもマーケティング戦略であり、サプライチェーンの変化によるものではないという。
アルゴリズム優遇の裏で高まる法的懸念
オムニセンド(Omnisend)のシニアeコマースエキスパート、グレッグ・ザコヴィッチ氏はメールでこう指摘した。「我々が目にしているのは愛国的な波ではなく、注目のキーワードを先に押さえるという動きだ。関税は一夜にして消費者の行動を変え、いち早く商品タイトルに『メイドインUSA』と入れたブランドは、たとえ実際の工場がいっさい米国に移動していなくても、アルゴリズム上で有利な立場を手にしている」。
問題は、「メイドインUSA」が法的に保護された文言だということだ。米Modern Retailが以前報じたように、米連邦取引委員会(FTC)は厳格なガイドラインを維持しており、誤解を招くような主張は公的な取り締まりや厳しい罰則につながる可能性がある。
「FTCの基準は非常に厳しい」とBBBナショナルプログラム(National Programs)のナショナルアドバタイジング部門バイスプレジデント、フィリス・マーカス氏は述べた。「『メイドインUSA』の表示は、製品のすべて、あるいは実質的にすべてが米国内で製造されたものであることをメーカーが証明できる場合に限られている」。これには、最終組み立てや重要な加工、部品調達も含まれる。
不手際も多い。全米広告監視機構(NAD)のある事例に、オーラルケアブランドのオーラルエッセンシャルズ(Oral Essentials)が、主要成分として死海の塩を使用しているにもかかわらず、自社製品を米国製であると主張していたケースがある。その主張は虚偽とみなされた。その後、同社はマーケティングを修正、製品は「米国産および世界各国から調達した原料を使用した米国製」とした。
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The post 「 メイドインUSA 」の罠とは? 高まる訴求力と規制リスク appeared first on DIGIDAY[日本版].
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