
- TikTokクリエイターファンドの報酬額は現在期待ほどの魅力を持たなくなっている。かつては1万ビューで2.50ドルだったが今では数セントにまで減少。
- クリエイターからは報酬支払いプロセスは不透明で、どのコンテンツが対象になるのか理解しにくいとの声。長尺のコンテンツを作る気はなくしたとコメントするクリエイターも。
- クリエイターファンド参加による閲覧数減少の噂もあり、TikTokのクリエイター向けプログラムに参加する価値はないと断言するクリエイターもいる。
かつて、マーケターにとって少し贅沢な出費であったクリエイターやインフルエンサーだが、いまや予算項目のひとつとなり、クリエイターエコノミーは数十億ドル(数千億円)規模の産業へと成長した。
この数年はYouTube、TikTok、インスタグラムなどのプラットフォームのほか、Snapchat(スナップチャット)までも、クリエイタープログラム、ファンド、その他の広告収益分配の機会を通じて、クリエイター向けの特別待遇を提供してきた。
「魅力」がない最近の現実
だが、本記事のためにDIGIDAYが取材した12名のクリエイターによると、最近の現実の状況は、当初想定していたよりも魅力がないのだという。
わずかな広告収益分配の支払額、恣意的な投稿要件、複数のプラットフォームでのクリエイタープログラムの終了などにより、クリエイターたちは大手ソーシャルメディアとの関係性に疑問を抱き、プラットフォームそのものから得る収益への依存度を抑えようと模索している。
「これは小遣いのようなものだと思っている」と、パートタイムでコンテンツクリエイターやクリエイターコンサルタントをしているジャック・アップルビー氏はいう。「もしあなたがクリエイターで、ソーシャルメディアネットワークのほうからお金を払ってくれると期待しているのなら、それは無駄な希望というものだ。そうではなく、自分からブランド取引をしに行く必要がある」。
「小遣い」とはいえ、お金はお金だ。DIGIDAYが取材した12名のクリエイターのうち10名が、2022年から2023年のあいだにクリエイターファンドや広告収益分配プログラムに参加していた。各プラットフォームが何を提供し、クリエイターたちがそれをどのように利用したのかについては、別記事(2023年のクリエイターエコノミーにおける勝者と敗者)を参照してほしい。
王者として君臨するTikTok
ここ数年でTikTokは、インフルエンサーやこれを利用するブランドにとって、第一選択肢のプラットフォームとなった。調査会社モーニングコンサルト(Morning Consult)によると、2019年には無名だったTikTokが、今やZ世代の3分の1以上がTikTok上のインフルエンサーをフォローしているというほどの、もっとも人気のあるプラットフォームへと成長した。
TikTokは2020年に10億ドル(約1480億円)のクリエイターファンド(TikTok Creator Fund)を特別に立ち上げ、クリエイターがTikTokで収入を得られるようにする支援を開始した。報道によると、クリエイターファンドは2023年12月16日に終了し、同社は新たな収益化プログラムであるCreativity Program Betaに軸足を移した。これはより長尺のTikTok動画を推奨し、クリエイターには以前のクリエイターファンドで得ていた額の20倍の収入を獲得できる可能性を約束するものだ。
コンテンツディレクターであり、パートタイムのコンテンツクリエイターとして約9万人にのぼるフォロワーを持つジェス・ザファリス氏は、クリエイターファンドが始まった2020年に自身のTikTokアカウントを開始した。初期のころは、動画が1万ビューを超えるとクリエイターファンドから2ドル50セント(約370円)が得られるので毎日投稿していた。だが現在TikTokから支払われる金額ははるかに少ないのだという。これまでに同氏がクリエイターファンドから得た金額は319ドル(約4万7000円)だそうだ。
「もともとは、1本の動画で2ドル50セント(約370円)を稼ぐことができた。それが今では、同じ動画で、閲覧数やレスポンス数、いいね数、コメント数がそれ以上ではないにせよ同程度なのに、得られる収入は3~5セント(約5~7円)だ」と同氏はいう。
曖昧すぎる報酬支払プロセス
TikTok、インスタグラム、YouTube、ピンタレスト(Pinterest)、Lemon8など複数のソーシャルメディアで9万8000人のフォロワーを抱えるコンテンツクリエイターであり、オンラインコミュニティのフルーエントインピンク(Fluent in Pink)の創設者でもあるモリー・ダニエラ氏も、同じような経験をしたという。
TikTokの新しいCreativity Program Betaに参加したが、2023年の初めから12月末までのあいだにこのプログラムを通じて得た収入は、わずか33ドル(約4900円)だった。対照的に、2023年にインフルエンサーとしてブランド取引やアフィリエイトリンクによって得た収益は5桁以上にのぼる。もっとも、具体的な金額について、同氏は明言しなかった。
TikTokクリエイターからの長年の批判のひとつは、報酬支払をめぐるプロセスの曖昧さである。コンテンツが支払対象となる要件がどのようなものなのかがわからないのだという。ダニエラ氏によれば、TikTokのCreativity Program Betaを通じて投稿した動画の半数以上が不適格となった。TikTokのガイドラインに照らせばそれらの動画はもっとも稼げる動画だったはずなのだが、なぜはじかれたのか、明確な理由が同氏に伝えられることはなかったという。
参考までに、TikTokのクリエイター向け情報ページによると、報酬は有効視聴数とRPM、すなわち有効視聴回数(インプレッション)1000回あたりの平均総収益に基づいて計算されるが、オーセンティシティ(真正性)やコミュニティガイドラインやサービス規約の遵守といった要件によっても変動する、と書かれている。
「これには困惑した」と同氏。「今はもう、1分以上の動画を作ろうという気にならなくなった」と、DIGIDAYへのメールの中で述べている。[続きを読む]
The post 「 TikTok のクリエイターファンドで得られる報酬額は5〜7円程度」、クリエイターが明かす収益分配の実態 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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