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「 X に対する信頼感だけでなく、期待感も失われている」:あるエージェンシーのストラテジストの告白

記事のポイント

  • イーロン・マスクによるTwitter買収後、広告主はXにおけるブランドセーフティ対策の弱体化と誤情報の増加に懸念を抱き、広告出稿を控える動きが見られる。
  • Xの営業戦略も変わり、以前の文化的なモーメントに基づいた活気ある会話から、ブランドセーフティの説明と出稿時の割引の紹介へとシフトした。
  • 新CEOリンダ・ヤッカリーノ氏のリーダーシップ能力について疑問視されるなか、エージェンシーからも広告主からもXの将来に対する期待感が失われつつある。

億万長者の起業家、イーロン・マスク氏がTwitterを買収して1年あまりが経った。テキストベースのSNSとしてインターネット上の対話の場となっていたTwitterは今年2023年7月、名称をXに変更し、ユーザーと広告主を混乱に陥れた(Twitterをめぐる2022年の出来事についてはこちら)。

その間、広告主は、Xにおけるブランドセーフティ対策の弱体化や誤情報の増加、新経営陣のもとでの行き当たりばったりのサービス変更に警戒心を抱き、果たしてこのプラットフォームを信頼していいものか迷っていた。けっきょく、多くのブランドがXへの広告出稿とオーガニック投稿を控えるという決断をし、米DIGIDAYの調査によると今年10月、Xに投稿したブランドは前年比で3分の1に減った。

パブリッシャーも同様の動きをしており、過去1カ月に自社コンテンツをXに投稿したと答えたパブリッシャーの割合は、2022年には89%だったが、2023年は73%にとどまった。IBMは11月第4週、Xでナチスを賛美する投稿の隣に自社の広告が表示されたという報告を受けて、Xへの広告掲載を停止したと発表した

業界関係者が匿名を条件に本音を語るDIGIDAYの「告白」シリーズでは今回、あるエージェンシーのストラテジストを取材し、Xとエージェンシー担当者とのぎくしゃくした関係の舞台裏と、Xの新CEOリンダ・ヤッカリーノ氏がリーダーシップを発揮できるか否かについて語ってもらった。

以下の内容は、長さと読みやすさを考慮して若干の編集を加えてある。

――イーロン・マスク氏によるTwitter買収から1年あまり。Twitterはブランド名を変更してXとなった。その間、貴社とXの関係はどう変わったか?

もっとも大きな変化は、エージェンシーとして広告主クライアントにXを紹介する際に躊躇するようになったことと、Xとの商談の内容が変わってきたことだ。以前なら、Xの担当者との商談はスーパーボウルをはじめとする毎年恒例のスポーツ大会や、グラミー賞授賞式などの一大イベントに向けた予約型キャンペーンに関する話題が多かった。新たな企画やビジネスチャンスについて意見を交わし、会話はいつも活気と期待に満ちていた。しかしいま、Xの営業担当者は、広告取引のお得感とブランドセーフティという2つの側面に重点をおいている。

私の経験では、X側からのオファーとして、「この広告枠に10万ドル(約1500万円)投入すれば、20万ドル(約3000万円)分相当のインプレッションが獲得できます」という申し出がなされた例もあった。広告効果の価値を倍増させる提案で、離脱した広告主がXに戻ってくるよう働きかけているわけだ。

Xではブランドセーフティ対策についても訴求している。ソーシャルメディアプラットフォームには当然ながらユーザー制作コンテンツが多数投稿されるから、我々はその事実をつねに考慮に入れてクライアント向けブランドセーフティのガイドラインを策定する。しかし、Xへの広告出稿に対し多くのクライアントが懸念を抱くようになったせいか、最近ではXの営業担当者が「うちのプラットフォームはまだ安全ですよ。データもそれを示しています」などと売り込んでくる。

ただ、我々エージェンシーとしては、そんな売り込み文句がもはや信じられなくなっている。なぜならX側の人たちがニュース報道と完全に矛盾する主張をしているからで、そのため、Xというプラットフォームに対する信頼感だけでなく、期待感も失われていると思う。[続きを読む]

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