
チャットボットアシスタントが、マーケターにとって初の本格的な生成AIアプリケーションの一つとして登場したのは、2023年のことだ。それ以来、イケア(IKEA)、クラーナ(Klarna)、ビー・アンド・キュー(B&Q)を所有するキングフィッシャー(Kingfisher)、マスターカード(Mastercard)、ウーバーイーツ(Uber Eats)、ロレアル(L’Oréal)といった企業が、それぞれ独自のAIチャットボットをリリースしている。
しかし、これらのアシスタントが売上にどのような影響を実際に与えているのか(あるいは、そもそも影響を与えているのか)は、定かではない。
売上は「必ずしも最重要な指標」ではない
イケアは2月、オープンAI(OpenAI)の「GPTストア (GPT Store)」で「イケアAIアシスタント(IKEA AI Assistant)」を公開した。同社の最高データ分析責任者であるフランチェスコ・マルゾーニ氏によると、月間ユーザー数は1500人に達しているという。これらのユーザーのインタラクションのうち、イケアのウェブサイトへの訪問につながったのは20%で、そのほとんどは屋外用の家具やソファ製品をチェックすることが目的だった。また、購入につながったのは5%だった。
イケアのAIアシスタントはもっぱら、家具選びについてユーザーと会話するためのもので、ユーザーからの質問に答えたり、アイデアを互いに出し合ったりできる。ただし、同社が主に期待しているエンゲージメントは、ユーザーをウェブサイトに誘導して、ブログ記事を読んでもらい、できれば製品の購入につなげることだ。
マルゾーニ氏は、イケアのAIアシスタントに関する初期の調査結果の一部によくわからない点があることを認めている。たとえば、「ChatGPT Pro」の有料ユーザー(GPTストアは5月中旬までサブスクリプション契約者しか利用できなかった)がイケアの顧客とどれほど重なっているのかは不明だ。また、ユーザーがチャットボットとやり取りする前にイケアのサイトを閲覧したりコンテンツを利用したりしていた可能性もあるため、購入に至るまでにどれくらいの段階を経たのか、実際のところはわからない。
マルゾーニ氏は、「(月間ユーザーの)数そのものは悪くない」と述べながらも、大規模な商業的仮説を立てるにはサンプル数が少ないとの考えを示した。また、チャットボットの影響を測る上で、売上は「必ずしも最重要な指標」ではないと、同氏は付け加えている。
むしろ、このアシスタントは主に、実用的なチャットボットを構築し、検索行動に関する仮説を検証し、GPTストア自体が顧客の獲得に役立つのかを判断するために必要なことを学ぶための手段であり、このテクノロジーをイケアのサイトに直接組み込むためのものではない。イケアはこのテクノロジーに対して「控えめで責任あるアプローチ」を取っていると、マルゾーニ氏は語った。続きを読む
The post イケア、 AI アシスタント導入で見えた顧客の行動とニーズ「高度な検索エンジンのように利用している」 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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