
- シャネルは過去の積極的な値上げ路線を見直し、2024年は控えめな価格調整に転換した。
- 短期利益より長期的ブランド価値を重視し、設備投資や職人技の維持、サプライチェーン強化を進めている。
- 業界全体で「本物志向」への移行が進むなか、シャネルは内側からブランド価値を積み上げる姿勢を鮮明にしている。
2020年から2023年にかけて、累計で約59%の値上げを行ったとされるシャネル(Chanel)は、新たな時代へと突入している。2024年、同ブランドは3%の控えめな値上げを行い、パンデミック時代の戦略とは対照的な姿勢を示した。この転換は、シャネルの自発的な判断ではなかった。ラグジュアリーマーケットが冷え込み、消費者の反発が強まり、シャネルの販売数量は前年比で7%減少したと、投資運用会社バーンスタイン(Bernstein)は推計している。同社が5月20日に発表した2024年の決算では、売上高が4.3%減少して187億ドル(約2兆7071億円)、営業利益は30%減の45億ドル(約6517億円)となった。ソフトラグジュアリー市場における無敵の価格決定力を誇っていたシャネルも、ついに限界に直面した。
「シャネルの近年の価格戦略は、消費者がラグジュアリーであってもどこまで受け入れられるか、その限界を試していたことは明らかだ」と、MRMアドバイザリー(MRM Advisory)創業者のメリッサ・ロス・メンデス氏は語る。「特に中国や米国といった市場の長年の顧客の多くは、価格の上昇に見合う製品や体験の進化が感じられなかった。こうしたズレが生じると、人々はブランドの価値そのものに疑問を持ち始める」。
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The post シャネル 、値上げの限界で戦略転換 減益でも「ブランドの本質」に投資 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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