
「広告費がつぎ込まれるところには必ず不心得者が現われる」。
アドテク業界では昔から、こんな格言めいた噂がささやかれてきた。投資が盛んになりつつあるジェネレーティブAIにも、同じような現象が起きているのだろうか?
近年、大規模言語モデルを搭載したAIツールが普及し、文章、画像、動画などさまざまなコンテンツが自動生成されるようになった。その弊害として、企業の広告費が質の低いコンテンツに流れる可能性が指摘されている。
ニュース信頼性評価サービスを提供するニュースガード(NewsGuard)が6月末に発表した最新の報告書によると、AIで生成された記事など大量の低品質コンテンツで収益化を図るWebサイトが横行しており、それらのサイトには名だたるブランド広告主が出稿したプログラマティック広告が多数掲載されているという。
90%以上がGoogle広告で配信されたもの
ニュースガードのチームは、5月と6月の2カ月間にドイツ、フランス、イタリア、米国で閲覧可能なサイトを調査した結果、141の大手ブランドの広告400件近くが、55の「信頼性に欠ける」AI生成ニュースサイト内に表示されていたと報告した。ただし、今回特定されたサイト内のコンテンツは、同社が5月に発表した別の報告書で取り上げた新手のAI生成コンテンツとは特徴が異なり、誤情報ばかりではないにしても、ほかサイトのニュースを盗用した記事や、アレルギー、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、がんなどの治療法に関する誇大広告的な見出しの記事といった、質の低いものが多かったという。
ニュースガードが作成する「ジェネレーティブAIによる信頼性に欠けるサイト一覧」の登録数は5月時点で数十だったが、短期間に急増し、いまや200を超えた。
ニュースガードのエンタープライズ担当エディターであるジャック・ブリュースター氏は米DIGIDAYの取材に応え、「AI生成ニュースサイトが次々と誕生するのは、アドテク大手との取引によりもたらされる広告収益化の大きなチャンスが魅力だからだろう。ただしアドテク企業は、AI生成コンテンツを人間が監修して配信しているか否かには関心がないようだ」と語る。
前述のブランド広告主は、AI生成サイト内に自社の広告が表示された事実に気づいていないと思われるため、ニュースガードは具体的な社名を公表しない意向だが、業種では銀行、動画配信サービス、ハイテク、自動車、スポーツ衣料、ペット用品などの大手企業が含まれるという。また、今回ニュースガードが特定した広告のうち90%以上がGoogle広告で配信されたことが判明した。
ジャック・ブリュースター氏は、この問題の一因について以下のように語った。
The post ジェネレーティブ AI ブームでプログラマティック広告の課題がさらに悪化。法的措置だけではもぐらたたきのような状態に appeared first on DIGIDAY[日本版].
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