
- テムとシーインは米国での成長鈍化を受け、欧州市場に注力。フランスや英国で広告投資を強化し、売上を伸ばしている。
- 米国ではデミニミス制度の廃止や関税強化の影響でWebトラフィックとアプリ利用が減少し、国内小売企業がシェアを回復。
- EUの緩やかな規制と物流戦略により、テムとシーインは欧州でのプレゼンス拡大を進めるが、将来的な規制強化が懸念される。
中国のeコマース大手であるテム(Temu)とシーイン(Shein)は、米国で高まる通商上の逆風に直面するなかで、欧州市場に急速に軸足を移し、存在感を高めている。これは、コンシューマーエッジ(Consumer Edge)の新たなデータによって明らかになった。
テムの欧州連合(EU)における売上高は5月上旬に60%以上急増し、なかでもフランスでは100%近い成長を記録した。シーインもまた、この地域全体で堅調な勢いを保っており、特に英国では成長率が約50%に達している。コンシューマーエッジ・リサーチは、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オーストリアにおける600万件のクレジットカードおよびデビットカード取引データを分析した。
「米国での成長が大きく鈍化し始めたのと同時に、英国および欧州大陸での成長が加速し始めている」と、コンシューマーエッジのインサイト担当バイスプレジデントであるマイケル・ギュンター氏は語る。「この動きは、地理的に多様化を図るという明確な戦略の一環であるように見える」。
米国において800ドル(約12万円)未満の小包を無関税で通関できるデミニミス(de minimis)制度が廃止されたことを受け、テムとシーインは米国での広告予算を削減し、代わりに欧州市場でのデジタル広告を強化している。ロイターが引用したセンサータワー(Sensor Tower)のデータによれば、両社の広告費はほかの欧州諸国と比較して、フランスと英国で特に大きく増加している。テムの広告費は4月に前月比でフランスで40%、英国で20%増加し、シーインも同国で35%の増加を記録した。この広告投資が、欧州での成長を後押ししているとみられる。
売上構成比で見ると、依然としてテムとシーインの収益の大部分は米国消費者によるものであるが、最近の減速は著しい。ギュンター氏によると、5月のテムに対する米国での消費額は約30%減少し、シーインも約20%減となったという。「両社は4月初旬にピークを迎えた。テムは当時、50%を超える成長率を記録していた。それがマイナスに転じたという事実は重大である」。
[▼会員登録をして続きを読む▼]
The post テム とシーイン、欧州市場に急シフト 米国減速を受け成長軸を転換 appeared first on DIGIDAY[日本版].
Source: New feed
