
- プライバシーサンドボックスによるさまざまな「提案」のうち、Protected Audience APIとTopics APIは重要視されており、パブリッシャーはChrome内での収益化にこれらを積極的に利用しようとしている。
- 一部のパブリッシャーはテックチームやプロダクトチームのマンパワー不足に直面し、プライバシーサンドボックスのテストに必要最小限のことしかできない状態。
- 最優先事項として評価されるProtected Audience APIに対し、Topics APIは懸念が多いものの、多くのパブリッシャーはプライバシーサンドボックスの実験を重要視しているようだ。
Googleは2024年1月のGoogleオーディエンス1%を皮切りに、ChromeブラウザからサードパーティーCookieを正式に廃止する動きに着手した。
その結果、広告やメディアの関係者は、サードパーティーCookieの制約を受けないブラウザのプライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)をあれこれ試すことができるようになる。プライバシーサンドボックスは、関係者がこれまで慣れ親しんできた1対1のトラッキングの替わりになる適切な手段として期待される。
プライバシーサンドボックスを構成する「提案」
プライバシーサンドボックスは、デジタル広告環境内のステークホルダー同士でテストや議論を重ねることを目的とした、数多くの「提案」で構成されている。Googleのプライバシーサンドボックスの説明によると、それらの提案が大規模に導入されない限り、「ウェブ標準」にはなれない。一方で、すべての提案がチェックの労力と時間をかける価値があるわけではないとパブリッシャーらは話す。
米DIGIDAYのインタビューに答えた5人のパブリッシャー関係者は皆、Protected Audience APIとTopics APIが最も重要な実験項目だと回答している。一方、「関連ウェブサイトセット」と「共有ストレージ」は、ポートフォリオパブリッシャーに提供されるアプリケーションだと言われているにもかかわらず、インタビューで一切名前が挙がることはなかった。
プライバシーサンドボックスの提案のテストは、段階的に実施するピースミールアプローチが取られているが、パブリッシャー側のテックチームやプロダクトチームにマンパワー不足が見られるケースもある。
インデペンデント(The Independent)のデータおよびマーケティング責任者ジョー・ホールダウェイ氏は、「当社ではできる範囲でGoogleプライバシーサンドボックスのチェックをしているものの、その業務を頼めるスタッフが開発部に10人もいない。そのため、プライバシーサンドボックスは必要最小限のことしかできない状況だ」と話す。
最優先すべきProtected Audience API
すでに説明したように、GoogleのProtected Audience API(Cookieレスのリターゲティングプロトコルで、以前の名称はFLEDGE)とTopics API(Cookieレスのコンテキストターゲティング広告で、FLoCの代替手段)は両方とも、プライバシーサンドボックスの提案のなかでも特に重視されており、複数のパブリッシャーが口を揃えて、Chrome内のオーディエンス収益化に直接携わっているため、この2つの実験は積極的に進めていると話す。
「Protected Audience APIはリマーケティングにとって非常に優れたツールだ」とホールダウェイ氏。それに、行動トラッキングの観点では、Protected Audience APIもTopics APIも建設的なものだと見られていると話す。
「行動とコンテキストの観点からも、データターゲティングの観点からも、とても注目している。現在の登録ユーザーは600万人。ユニークユーザーは世界規模で7000万人を有する。だから、わが社には行動データも数多くあり、ファーストパーティーデータも数多くある。このデータをオーディエンス別にセグメント化するのは、インベントリの収益化において非常に理に適った方法であり、そういった意味で、わが社のDMPの利用は大いに成功を収めている」と同氏は説明する。
Googleブラウザの広告収益の可能性を今後も維持しようと考えたとき、この2つのAPIが何よりも重要になると想定される。
ゲームサイトを運営するアンワインド・メディア(Unwind Media)でプログラマティック収益・戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるエンリー・ダウニングホール氏は、「この2つのAPIは、Chromeの収益化に影響を及ぼすことになるので、当社にとって何よりも重要だ。ユーザーの大半はChromeを利用しており、オープンマーケット広告で最も価値があるのは、Chromeだと考えている」と分析する。
使える代物ではないTopics API
匿名を条件に回答してくれたあるパブリッシャーは、Topics APIに関してはヘッダー入札プラットフォームPrebid(ブレビッド)で実験を進めているものの、Chromeの検索オークションで広告読み込みの時間に関して懸念すべきことがあり、Protected Audience APIのテストはまだ始めていないという。[続きを読む]
The post プライバシーサンドボックス をテストする価値は本当にあるのか。「優先順位」を整理すると appeared first on DIGIDAY[日本版].
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