
- 米上院議員リンゼー・グラム氏は、CEOたちに対して「あなた方の手は血で汚れている」と非難し、「あなた方の製品は人々を殺している」と述べた。
- 公聴会では直近定番となっていたAIに関する規制については触れられなかった。ただし、一部のCEOはAIを利用した有害コンテンツの発見に言及した。
- 5社は概ね連邦法規制の支持を表明したが、対象や程度については異なりがみえた。なお、一部のCEOは具体的な法案の支持を表明したが、一部は回答を避けていた。
米上院議員らは、自らの改善に非積極的なビッグテック勢にしびれを切らしつつある。1月31日、ソーシャルメディアプラットフォーム大手5社のCEOらは、見るからに苛々を募らせる上院司法委員の面々から何時間にもわたり問い詰められた。
「ビッグテックとオンライン児童性的搾取問題(Big Tech and the Online Child Sexual Exploitation Crisis)」と題されたこの公聴会は、米上院議員らがメタ(Meta)、TikTok、Discord(ディスコード)、X、スナップ(Snap)のCEOらに対して各々のプラットフォームにおける児童保護の実態を問う場となった。
また、議員らはビッグテック勢に対して、各々の人気プラットフォームを規制するいずれかの法案を「支持するか否か」も問うた。対する5社はともに、性的コンテンツ、人身売買、自殺、ドラッグ使用、オンラインプライバシー、精神衛生に関する諸問題など、ソーシャルメディアの潜在的有害性に関する懸念は表明した。
あなた方の手は血で汚れている
公聴会への召喚は、メタのCEOマーク・ザッカーバーグ氏とTikTokのCEO周受資(ショウ・ジ・チュウ)氏は以前にも受けているが、XのCEOリンダ・ヤッカリーノ氏とスナップのCEO/共同創業者エヴァン・シュピーゲル氏、DiscordのCEO/共同創業者ジェイソン・シトロン氏は、今回が初めてだった。
「ザッカーバーグ氏、そして我々の前にいる企業の皆さん、あなた方はきっと、そんなつもりはないと言うだろう。だが、あなた方の手は血で汚れている」と、米上院リンゼー・グラム氏(共和党、サウスカロライナ州)は糾弾した。「あなた方の製品は人々を殺している。(中略)無論、そこには良い面もあるが、邪悪な側面が放置されたままになっている」。
他の議員数名も通信品位法230条を改訂し、テック企業の免責を撤廃することが望ましい旨の発言をした。共和党有力幹部グラム氏はさらに、「テック企業勢が諸問題を自ら解決するのを待っていたら、議会は死に体と化すと思う」とも発言した。エイミー・クロブシャー上院議員(民主党、ミネソタ州)は、「我々が裁判所の扉を開かないかぎり、何も変わらないだろう」と断言した。
「数週間前、ボーイング機の扉が飛行中に外れ落ちた際には、700機以上の運行を一時停止する決断がなされたが、それに異を唱える者は一人もいなかった」とクロブシャー氏は発言し、こう続ける。「なのになぜ、子どもたちが死の危機に瀕しているとわかっているにもかかわらず、これらプラットフォームが持つ危険性に対して、我々は同様の断固たる行動を起こそうとしないのだろうか」。
米議会上院で開かれたこの公聴会には、オンライン虐待の被害者らも同席した。また、SNS上での性的搾取やその他ハラスメントの被害を受け、その後に亡くなった子どもたちの家族も大勢いた。さらには、「私には270ドル(約4万円)以上の価値がある」と書かれたTシャツ姿の若者たちの姿もあった。これは、メタが社内eメールにおいて、13歳のユーザーの「顧客生涯価値」を約270ドルとした事実を暴露する報道を受けてのものだった。
一部の議員はCEOらに回答する隙さえ与えず、彼らが口を開くやいなや、言葉を遮ることもしばしばだった。もっとも劇的だったのは、ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党、ミズーリ州)に詰め寄られ、ザッカーバーグ氏が被害者およびその家族に向き直り、謝罪をした場面だった。スナップのCEOエヴァン・シュピーゲル氏もそのすぐ後に陳謝した。
AIの不在
最近のAIに関する規制の動きにもかかわらず、同公聴会ではAIは主役にならなかった。ちなみに、同委員会の数名はAI生成による本人の同意なき性的コンテンツを禁じる、同日に提出された新たな法案の共同提案者でもある。
ただ、CEOおよび上院議員の発言中、誰もが口にしたくないその存在が俎上(そじょう)に載ったことは何度かあった。ザッカーバーグ氏とシトロン氏はともに、AIを利用した有害コンテンツの発見に言及し、XのCEOリンダ・ヤッカリーノ氏は「AIは、加害者が洗練され進化し続けるための一助になる」と話した。
「2024年、我々の民主主義は再び、これらプラットフォームを介して、海外の脅威アクターから攻撃を受けるのではないかと、私は不安でならない」とグラム氏は話した。「我々は脅威に晒されている。AIはまだ始まったばかりだ」。[続きを読む]
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