
- 2023年、アメリカのメディア業界は広告市場の不安定さに悩まされた。デジタルパブリッシャーの収益が前年比で減少し、リファラルトラフィックも減少したが、一部のパブリッシャーは成長を見せた。
- 業界はプログラマティック広告の透明性に関する調査により、MFAサイトへの広告費の流出を認識し、この問題に対処し始めている。
- メディア業界ではジェネレーティブAIの実験が進み、記事作成や営業プロセスの効率化に貢献したが、著作権やトラフィック減少の懸念も生じた。
広告市場は不満が絶えず、精彩を欠くこの1年だったが、メディア業界の2023年を総括するうえで、いくつかの外せない重要なトレンドがある。
DIGIDAYが今年1年をかけてリポートしてきた記事の中から、MFAの大失敗からAIの実験、長引くレイオフまで、特に重要な教訓やテーマをいくつか紹介しよう。
2023年の結果
まずは、2023年の業績をまとめてみよう。メディア業界のどこに属するのかによっては、すべてが当てはまる場合もありそうだ。
報道によると、BDGのようなデジタルパブリッシャーは収益が前年比で10~15%減少しているが、ほかのパブリッシャーの総収入は前年比で成長を見せている。たとえば、アトランティック(The Atlantic)では2022年よりも良い数字で2023年の終わりを迎えるが、CEOのニック・トンプソン氏は同社の年間収益を「驚異的」と表現している。なお、具体的な収益の数字は明かされていない。
上場パブリッシャーの最新決算報告を見ても、不安定な広告市場の影響をどの程度受けたのか、その大小に関しては、同様のばらつきが見られる。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)とダウ・ジョーンズ(Dow Jones)の場合、2023年の第3四半期は前年比でそれぞれ9.3%、4%の増益を報告しているが、ガネット(Gannett)とBuzzFeedの決算報告ではまったく様相が違い、四半期の収益は前年比でそれぞれ8.4%、29%減少している。
2023年全体に関しては、ダウ・ジョーンズとウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)のグローバルCROジョシュ・スティンチコム氏は「良い点と悪い点が少しばかりごちゃまぜ状態」だと分析した。しかしながら、最終的には「ほどほど。大半のメディアよりはよい言えるのでは」と感じているという。
流動的なオーディエンス
今年、目立つ不満――というか、多くのパブリッシャーが2023年に収益が減収したきっかけとして指摘したもの――は、検索プラットフォームからもSNSプラットフォームからもリファラルトラフィックが減少したことである。
リファラル減少の理由として考えられるのは、プラットフォーム各社が、ユーザーを独自のSNSフィードに抱え込む取り組みに拍車をかけていることだという。その結果、8月のリファラルトラフィックを前年比で見ると、X(旧Twitter)からは72%も減少し、Facebookからは84%も減少している。
上位パブリッシャーを見ると、今年はGoogleからのリファラルトラフィックでさえ出だしから躓いている。Googleからはトラフィックがわずかに上昇したと報告するパブリッシャーがある一方で、そのうちの2社は、2023年のアルゴリズム更新を受けて、いくつかのブランドでリファラルトラフィックがほぼ70%の減少を見せており、その原因に関してはほとんどわからないという。
インデペンデント(The Independent)のグローバルCOOと北米担当プレジデントを務めるザック・レオナルド氏は「SNSは今年すべてのパブリッシャーで特にFacebookが問題。Facebookとは2011年からずっと戦略パートナーなのだが。Facebookのインスタント記事(Instant Articles)の終了に伴い、多くのパブリッシャーが多くの収益を失い、さらには、トピックとしてのニュースの規模を縮小するようアルゴリズムが変化されたので、私たちとしてはその影響も受けている」と話す。[続きを読む]
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