
- ラグジュアリーモールは、消費の多様化と市場の減速を背景に、「体験」や「感情的なつながり」へと軸足を移している。
- 旗艦店や独占出店だけでなく、地元文化やD2Cブランドを取り入れた多層的なテナント構成が集客の鍵になっている。
- モール運営者は、顧客との直接的な接点を通じて関係を深め、来訪者に「帰属意識」を感じさせる仕組みづくりに注力している。
マシュー・ウィットマン・レズンビー氏は、フロリダ州にある高級ショッピングモール「バルハーバー・ショップス(Bal Harbour Shops)」を運営する3代目としての誇りを抱いている。この高級モールは、彼の祖父が1960年に創業して以来、変わらぬ文化を今なお保っている。
「ここは、家族や友人と時間を過ごし、風に揺れるヤシの木々を眺められる特別な場所だ」と、レズンビー氏はModern Retailに語る。しかし、ラグジュアリーの本質そのものは変化しているという。
1965年当時について、ウィットマン・ファミリー・ディベロップメント(Whitman Family Development)の社長兼CEOであるレズンビー氏はこう語る。「店の扉に書かれている名前が、そのまま自分が対面している相手の名前だった」。
たとえば、1970年代のグッチ(Gucci)のバルハーバー・ショップスでの契約書には、あのアルド・グッチ(Aldo Gucci)のサインが記されている。「当時のブランドはすべて家族経営だった。いまや洗練されたコングロマリットばかりになってしまった。ダイナミクスは大きく変わっている」。
ラグジュアリー市場の停滞と変わる競争構造
時代は移ろい、バルハーバー・ショップスだけでなく、すべてのラグジュアリーモール運営者たちも変革を迫られている。ラグジュアリーは依然として強力な産業であり、パンデミック期間中は大きな成長を遂げたが、インフレや関税の影響を受けて現在は減速している。ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Co.)は5月、2024年の世界のラグジュアリー商品の売上が前年比で2〜5%減少すると予測した。これは従来の0〜4%増という見通しからの大幅な下方修正である。
可処分所得が多い層に訴求力を持つラグジュアリーであっても、消費者は今、支出先を慎重に選んでいる。しかも、商品を手に入れる手段は店舗、オンライン、パーソナルショッパーと多様化しており、特に従来型のモールにとっては競争が激化している。
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The post 単なるショッピングではなく感情的なつながりを 米ラグジュアリーモールが取り組む 顧客理解 の最前線 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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