
データがメディアビジネスを動かす、いわばガソリンであるなら、その貯油庫や製油所がいま、そこら中に出現している。最大の油田――サードパーティCookie――が枯渇しようとするなか、その動きはさらに加速している。
スタグウェル(Stagwell)がスタグウェル・マーケティング・クラウド(Stagwell Marketing Cloud)内に新たな消費者調査プロダクト、Unlock Surveys(アンロック・サーヴェイズ)をローンチしてからわずか数日後には、消費者調査会社ディスコ(Disqo)がオムニチャネルの行動学的調査を深化させるべく、米TVメーカー、ビジオ(Visio)のテクノロジーユニット、インスケープ(Inscape)との提携に動いた。その目的は、マーケターやそのほかメディアエージェンシーを決定的成果によりいっそう近づけることにある。
米DIGIDAYが得た情報によれば、今回の提携を通じて、ディスコはインスケープの自動コンテンツ認識(ACR)TV視聴データにアクセスできるようになる。それをブランドリフトといったさまざまな成果を測定するディスコのほかプロダクトと統合することで、広告主が広告キャンペーンのクロスメディアおよびフルチャネル的効果を測定する一助になることが期待されるという。
一方の顧客――マーケターとエージェンシーの双方を含む――については、認知度や好感度、購入意図といったブランドメトリクスと、検索やサイトアクセス、ショッピングなどのパフォーマンス(行動的)成果とのあいだのギャップを、マルチメディアキャンペーン全体にわたって埋められるようになることが期待されている。
クロスメディアインタープレイの重要性
ディスコのCEOアーメン・アジェミアン氏は、「TVデータを消費者の利用実態というクロスメディアインタープレイ(メディアを跨ぐ相互作用)に追加できる能力こそが、マーケターおよびエージェンシーにとってとりわけ価値があると考えている」と話す。
「どの個人が、どこで、どんな広告に触れているのか、我々には把握できる――それはつまり、個人をアティテューディナル(行動/姿勢的)メトリクスや、ブランドリフトメトリクスだけで捉えるのではなく、個々のカスタマージャーニーに目をやり、広告の効果によって、彼らのダウンファネルビヘイビア(低ファネル行動)がどう変化するのか、理解できることを意味する」と、アジェミアン氏は話す。
また、「さらにはいまや、個々がTVにひとつのチャンネルとして、ソーシャルにひとつのチャネルとして、プログラマティックにひとつのチャネルとして、さらに別のタイプとして、どのように触れているのかを理解できるし、そうした種々様々なメディアを理解できることは、結果に繋がる」と言い添える。
TVエコシステムの変革をリードする協力関係
ビジオのデータライセンシング/ストラテジー部門VPケン・ノークロス氏は、「我々の使命はTVエコシステム全体における変化の牽引だ」と話す。ケン・ノークロス氏によれば、同社は2300万台のオプトイン済ビジオ製TVにアクセスできるという。
「インスケープは顧客がさまざまな――つまり、OTT、ストリーミング、リニア、OTAなどの――ディストリビューションプラットフォームを通じて、オーディエンスに対する効果をより正確に測定できるよう尽力する。我々はパートナーにとっての障壁を取り除く、そしてそれこそがディスコといった企業との提携の利点にほかならない。このACRデータの幅広さと深さはまた、広告事業から消費者経験に至るまで、我々自身のビジネスバーティカルの多くにおける戦略化にも役立つ」と言い添える。
アジェミアン氏はウォルマート(Walmart)によるビジオ買収の件にも言及し――ウォルマートとAmazonによるeコマース覇権争いの行方を一変させる可能性がある動き、とも報じられているが――ディスコとインスケープの協力体制には一切影響がおよばないと断言する。「それによって我々とビジオとの関係が変わるとは思わない。ビジオの事業はこれまでどおりだ」と話す。[続きを読む]
The post 視聴データから消費者調査まで、 ファーストパーティデータ に賭けるエージェンシーが増加中 appeared first on DIGIDAY[日本版].
Source: New feed
