
デジタル広告をよりサステナブルにする努力において、依然として優勢を誇っているのは、行動することではなく、責任を追及することの方だ。
停滞の要因はどこにあるのか
パプリッシャーは、それが売上に影響を及ぼすより前に実行できるサプライパス最適化には限りがあるという。
一方、広告主とブランドは、低炭素のキャンペーンが従来のキャンペーンに匹敵する効果があることを示すデータが出てくるまでは、とりあえずは予算をグリーン度の高いメディアへ回すことぐらいしかできないと言っている。DSPはというと、その一部はグリーン度の高い手段への資金注入に取り組んでいるものの、クライアントが要求してくるKPIの呪縛から逃れられないでいる。
その結果、デジタル広告業界にはある種の膠着状態が生み出されてしまっている。業界全体が、誰かが先陣を切って、その打撃を進んで受けるのを待っているのだ。そして、売上への打撃がもはやリスクではなくなってから、その後に続こうと様子をうかがっている。
今年6月に開催が予定されているカンヌライオンズ(Cannes Lions)では、責任あるメディアに向けた世界同盟(Global Alliance for Responsible Media:GARM)が広告業界のサステナビリティ測定の基準を発表することになっている。これが発表されれば、停滞が解消されて、ついには広告予算がグリーンインベントリへと回されるようになることも、あながち夢ではない。
広告主がサステナブルに買い、セラーが炭素効率のより高いインベントリを促進するためのツールはすでに存在している。しかし、一部の関係者によれば、測定に関する世界共通のガイドラインがないことに加えて、ほかの要因でも、サステナビリティをめぐる行動に遅れが出ているという。
「これは実施の問題だ」
今年4月、広告プラットフォームであるシェアスルー(Sharethrough)主催のグリーン・メディア・サミット(Green Media Summit)が開かれた。
同イベントで行われたサステナビリティの基準に関する公開討論会で、IABテック・ラボ(IAB Tech Lab)のプログラマティック部門でディレクターを務めるヒラリー・スラッタリー氏は、サステナブルな広告を金銭的に支援する行動がバイサイドに欠けていると指摘した。メディアバイヤーには、クライアントの予算をグリーン度の高いインベントリーへ回す責任があると、同氏は述べた。そうしないかぎり、サステナビリティに対する取り組みは今後も停滞したままになってしまうという。[続きを読む]
The post 進まない「持続可能な デジタル広告 」の実現。排出される炭素を削減する責任は誰に? appeared first on DIGIDAY[日本版].
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