
- GoogleのAI OverviewsやChatGPTは、従来の検索よりもパブリッシャーへの送客率が著しく低い。
- robots.txtを回避するAIクローラーが増加し、パブリッシャーの防御策は機能不全に陥っている。
- AI提携で得られるトラフィックは微増にとどまり、小規模メディアほど深刻な減少に直面している。
GoogleがAI Overviewsを実装してから1年、ChatGPTとパープレキシティ(Perplexity)のローンチからは2年以上が経過した。これらのツールは、パブリッシャー、プラットフォーム、オーディエンスのあいだにあった従来の関係を根本から覆した。
AIテクノロジーの普及は、パブリッシャーのトラフィックと、彼らがコンテンツをスクレイピングから守る能力に、ますます明らかな影響を与えるようになりつつある。
本記事では、パブリッシャーがAIに関して現在どのような立場に置かれているかを端的に示すデータを厳選して紹介する。順を追って要点を見ていこう。
徐々に削られるトラフィック
AIボットがパブリッシャーにもたらすトラフィックは、従来のGoogle検索と比べてはるかに少ない。パブリッシャーとAI企業のための分析・ライセンシングプラットフォームであるトールビット(Tollbit)が2月に発表した報告書によれば、平均で95.7%も少ないのだ。
AI検索エンジンがユーザーをパブリッシャーサイトに誘導する確率は、コンテンツスクレイピング1回につき0.74%だ。これでもチャットボットのわずか0.33%よりはましだが、前述のトールビットの報告書によれば、Googleオーガニック検索の結果トップ100の平均クリックスルー率(CTR)と比べ、生成する参照トラフィックの量は91%減だった。
当然ながら、チャットボットの(ChatGPTやパープレキシティといったツール由来の)トラフィックは比較的小さく、規模としては実験的だ。チャットボットを軽視するわけではないが、パブリッシャーがいまもっとも懸念しているのは、GoogleのAI Overviewsが、パブリッシャーが強く依存している従来の検索トラフィックに取って代わる、あるいはそれを希薄化するかもしれないという問題だ。
セムラッシュ(Semrush)の最新調査によれば、1000万語超のキーワードを分析した結果、Googleは検索結果へのAI Overviewsの表示をますます増やしている。2025年5月の時点で、全検索クエリの13%以上でAI Overviewsが表示され、2025年1月の6.49%から大幅に増加している。1月から3月のあいだにAI Overviewsの表示率がもっとも顕著に増加(約20%)したのは、科学、健康、人と社会といった分野で、これらの分野の「信頼性と情報密度が高い」性質によるものだろうと、報告書は指摘している。
一方、ソフトウェア企業エイチレフス(Ahrefs)が30万語のキーワードを分析した結果、Googleの検索結果にAI Overviewsが表示された場合、AI Overviewsの表示がない類似のキーワードの場合と比べ、ランキング上位ページのクリックスルー率は平均で34.5%減少していた(現状では、これがAI Overviewsの影響を定量化する方法となっている。というのも、AI Overviewsのクリックやインプレッションと、パブリッシャーのGoogle検索データの結果を直接比較する方法はまだないからだ)。
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The post 露出は増えても利益は生まれず AI 検索の台頭でパブリッシャーが失うもの appeared first on DIGIDAY[日本版].
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