
長さは重要ではないという話もあるが、動画に関してはひたすら長さにこだわるマーケターもいる。
ショートフォーム動画がデジタル世界を席巻するなか、ブランド各社はロングフォームコンテンツや独自エンターテインメントの波に便乗せずにはいられなかった。速いテンポで興味の対象が次々と変わっていくネット環境で、注目の分け前を少しでも獲得したいと誰もが思っていることを考えれば、これはとくに驚くべきことではない。
ドキュメンタリー系がリーチ拡大の原動力に
レディースファッションのプリティリトルシング(PrettyLittleThing)も例外ではない。同社のマーケターは意味のある、社会と繋がったブランドであることを前面に打ち出すべく、ウォールオブプロダクションズ(Wall of Productions)という制作会社に依頼し、YouTubeチャンネルを一新した。かつては商品を中心としたファッションとスタイリングの動画がごたまぜになっていたが、今ではライフスタイル関連のコンテンツを中心とした構成になっている。
リニューアルからまだ18カ月ほどしか経っていないため、プリティリトルシングの戦略の成果を論じるにはまだ早いが、今後の展望については見えてきたことがある。たとえば、インフルエンサーのネラ・ローズが司会を務めるプリティリトルシングのデートショー「ラブ・レッスンズ(Love Lessons)」は、ソーシャルメディアで一大旋風を巻き起こし、動画クリップのTikTokでの再生回数は何百万回(合計990万回)にも上っている。
ローズと、同じくプリティリトルシングのアンバサダーを務めるインディヤ・ポラックが司会する「ザ・ピンク・コートルーム(The Pink Courtroom、ピンク色の法廷)」というショーもある。法廷ドキュメントの「ジャッジ・ジュディ」という番組と似たようなコンセプトで、5月に入ってから約15分のエピソードを4本公開している。この4本を合わせたYouTubeの再生回数は140万回を超える。
「以前はこの種のコンテンツは補足的な位置付けでしかなかったが、今ではチャンネルの主役に躍り出て、さらにリーチ拡大の原動力ともなっている」とプリティリトルシングのソーシャル責任者を務めるベッキー・ターンブル氏は話す。
このアプローチが成功しているのは、ショーの顔に黒人インフルエンサーを採用していることも一因だとされる。かつてプリティリトルシングでは、ブランドを代表する存在として白人のインフルエンサーやセレブを採用することが普通だった。だが、黒人の声を含めることによって幅広いオーディエンスとつながり、より多種多様な人々の共感を得ることができる。
オーディエンスとのパラソーシャルな関係の構築
タレントマネジメント会社のネクストストップタレント(Next Stop Talent)のCEOであるテミマ・シェームズ氏は、「ロングフォームコンテンツでは、クリエイターをよりよく知ることができ、なぜそのコンテンツに関心を持ち、そのメッセージに声に耳を傾けるべきなのかを理解できる」と語る。「ショートフォームコンテンツは注目を集める手段として決定的な役割を果たせるし、ロングフォームコンテンツでは真に心をつかむことができる」。
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