
- 世界には150以上の認知バイアスがあり、そのなかで職場で頻繁にみられるものは約25種類。とくに類似性バイアス、ジェンダーバイアス、直近バイアス、コントラストバイアス、根本的な帰属の誤りの5つは職場に蔓延しかねないものだ。
- バイアスには完全に排除できないものもあり、対策としては定期的な社内トレーニングセッションやテクノロジーの活用が挙げられる。
- 一方でバーチャルな職場空間では文化的ニュアンスに関するトレーニングがおろそかにされがちに。従業員が職場に戻る際にその重要性が再認識されている。
この世界において、150以上の認知バイアスが知られている。このうち、職場で頻繁にみられるものは約25種類で、なかには近接バイアスのように、ハイブリッド勤務ブームのあとに現れた新しいものもある。一方で、人種やジェンダーに関するバイアスは誰もがよく知るところだ。
「バイアスと聞くと、私たちはすぐに人種とジェンダー、続いて性的指向を思い浮かべる」と、ビジネスおよびリーダーシップに関するコンサルタント企業のニューロリーダーシップ・インスティチュート(NeuroLeadership Institute)で人材・パフォーマンスプラクティス部門責任者を務めるクリスティ・プルーイット=ヘインズ氏は言う。「これらはみなバイアスの構成要素ではあるが、職場のすべての人々、とりわけリーダーにとって、人種とジェンダー以外にもさまざまなバイアスが存在することを知っておくことが重要だ」。
早期に発見し、緩和のための対策をしなければ職場に蔓延しかねないものとして、5つのバイアスが挙げられる。だが、マネージャーや幹部社員は、必ずしもこれら5つをすべて認識しているわけではなく、職場に影響を及ぼすケースがどれくらいあるのかも理解していない。だからこそ、多様性・公平性・包摂性(DEI)担当のリーダーたちは、こうしたバイアスに関する教育やトレーニングの必要性を訴えている。
おろそかだった文化的ニュアンスに関するトレーニング
「認知バイアスの興味深い点は、完全には排除できないことだ」と、eコマース分野でフルフィルメントソリューションを提供するラディアル(Radial)でDEI担当シニアディレクターを務めるトム・キルゴア氏は指摘する。同社は職場におけるバイアスに関する定期的な社内トレーニングセッションを開催している。同氏は「治療法や特効薬はない。だが、折り合いをつけて生きる方法や現実的に対処する方法を身につけることができる。そうすることでポジティブな効果を生み出せる」と話す。
パンデミックのあいだ、人々はこうした取り組みを棚上げにしがちだったが、さまざまなタイプのバイアスに関する啓発はこれまでになく重要になっていると、DEI分野のリーダーであるジェン・マホーン・ライトラー氏は述べる。
「バーチャルな職場空間をどんなものにすべきかが最重要課題とされ、文化的ニュアンスに関するトレーニングの多くがおろそかになっていた」と、マホーン・ライトラー氏は指摘する。「職場に戻ってきたわれわれは、あまりにたくさんのことを忘れていたことに気づいたのだ」。
以下、職場でもっとも顕在化しやすい5種類のバイアスを、その実態と緩和のための処方箋とともに紹介していく。
1.類似性バイアス
類似性バイアスは、ある人がもともと別の人に似ている場合に生じる。キルゴア氏によれば、この無意識のバイアスは、しばしば人材採用の段階で顕在化する。採用担当者は、応募者が同じ大学や同じ出身地であったり、似た趣味をもっていたりする場合に、こうした人を採用しがちであり、結果的に担当者との共通点は何もなくても、役職により適した人物が不採用となることがある。
「数々のデータポイントに自分とのつながりを見つけるたび、エンドルフィンの奔流が巻き起こる」と、キルゴア氏は言う。「われわれの脳は、候補者との類似性を好ましいものと認識しはじめ、結果として職場の多様性向上を話し合うなかで、『職場のカルチャーによくなじむ人を求めている』といった意見が頻出する。それは結局のところ、自分のクローンが欲しいという意味でしかない」。
類似性バイアスを緩和するひとつの方法は、意図的に採用担当者に多様な面々を揃えることであり、これは人種、年齢、ジェンダーなどの観点から多様な候補者を選ぶ助けになる。[続きを読む]
The post 職場で顕在化しやすい5つの 認知バイアス とは何か? リーダーに求められるその対処法 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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