
- ニュースレターメールのパフォーマンス評価指標として知られるCTRとCTORだが、両者の定義は実はESPやサービスによって異なっており曖昧。
- ニュースレタープラットフォームは、送信したメールの総数ではなく開封率に基づいてCTRを算出することが多いようだが、Appleのメールプライバシ機能導入以降、開封率は信頼できないと見なされている。
- メディアバイヤーやニュースレター発行者はこれらの指標のみに依存せず、他の指標やデータ分析を組み合わせてニュースレターのパフォーマンスを評価する必要がある。
電子メールのクリックスルー率は、パブリッシャーや広告主がニュースレターのパフォーマンスを判断するのに役立つシンプルな指標に見える。送信したメールのうち、受信者の何パーセントが本文中のリンクをクリックしたかを示す指標だ。
しかし、実際は違う。クリックスルー率(CTR)をクリック開封率(CTOR)として報告するニュースレタープラットフォームもある。CTORは、メールの開封数に対して測定されるものだ。しかし、3人のニュースレター執筆者はDIGIDAYの取材に対し、CTRの算出方法はニュースレター執筆者、あるいは広告主にとって、あまり重要ではないと語っている。彼らはニュースレターのデータを自ら検証する手法を持っているか、CTRだけでなく他の指標にも頼り、どこでメール広告を購入するかを決定している。
DIGIDAYの分析では、電子メールサービスプロバイダー(ESP)のビーハイブ(Beehiiv)とサブスタック(Substack)は、業界でCTORとして採用されているものを使ってCTRを算出しており、メールチンプ(Mailchimp)は送信したメールの数に基づいてCTR(メールチンプは「クリック率」と呼んでいる)を算出している。メールチンプとサブスタックはこれを認めている(ビーハイブにもコメントを求めたが、回答は得られなかった)。
ある人のCTRは別の人のCTOR
自らのコンサルティング会社インボックス・コレクティブ(Inbox Collective)を通じてパブリッシャーやブランドのメール戦略を支援するダン・オシンスキー氏によれば、CTRは、メールをクリックした受信者のユニーク数を送信されたメールのユニーク数で割ったものと定義されている。CTORは、メール内のリンクをクリックした受信者のユニーク数を開封されたメールのユニーク数で割ったものだ。通常、どちらも100をかけてパーセンテージにする。
「(ESP)それぞれでデータの追跡方法が少しずつ異なる」とオシンスキー氏は話す。
また、インバウンドマーケティングソフトウェア企業のハブスポット(Hubspot)は、リンクをクリックした人数を送信されたメールのユニーク数で割り、100をかけたものと定義している。さらに、メールマーケティングソフトウェア企業のキャンペーン・モニター(Campaign Monitor)は「クリックされた受信メールの総数を配信されたメッセージの総数で割ったもの」と定義している。
※編集部注:キャンペーン・モニターは米DIGIDAYの契約ベンダー。
「ある人のCTRは別の人のCTORだということに気付かない」人もいるだろうとオシンスキー氏は述べている。「どのデータが提示されているかを明確にするため、広告主はブランドとよく確認する必要がある」。
オシンスキー氏によれば、これは今に始まった問題ではないという。そして、DIGIDAYの取材に応じたメディアバイヤーはこの矛盾をよく理解しているようだ。ただし、従来のニュースレターパブリッシャーが、メール購読者の総数や開封率に基づいて広告主にCPM料金を請求していることを考えると、メディアバイヤーはあまり気にしていないようだ。
広告エージェンシーのフェレビーレーン(FerebeeLane)でメディアディレクターを務めるケイティ・ドリッグズ氏は、「パートナーによってクリックスルー率の定義が異なるため、(CTRとCTOR)両方を見ることが多い」と話す。「複数のベンダーやニュースレターを互いに評価し、クリックスルー率を比較するのであれば、それがどちらなのかを知っておく必要がある。そのまま同じ条件で比較できるわけではないためだ。クリックスルー率の算出方法を知っておく必要がある」。
なぜバイヤーはCTORを好むのか
DIGIDAYの取材に応じた2人のメディアバイヤーによれば、ニュースレタープラットフォームは、送信したメールの総数ではなく開封率に基づいてCTRを算出することが多いようだ(Appleが2022年9月にメールプライバシー保護機能を導入して以来、開封率は信頼できないと見なされているにもかかわらずだ)。
ドリッグズ氏は、このようにCTORをCTRとして報告することで、ESPやニュースレター執筆者は広告主と「より高い」数字を共有できると指摘する。「その方が見栄えがいい。だから、(ESPは)そちら(の数字)を使いたがるのだろう」。
ドリッグズ氏は、業界はCTRやCTORのような指標の統一された定義を使うべきだと考えている。「そうすることで、プランナーが比較する際に間違った指標を使う事態を防ぐことができる」。
しかし、広告エージェンシーのクリスピン・ポーター・ボガスキー(Crispin Porter Bogusky)でグループディレクターを務めるデイビッド・マースキー氏によれば、実際、バイヤーは一部ESPのCTR算出方法を気に入っているようだ。送信したメールの総数ではなく、クリック数を開封数で割った値、つまり「インプレッション数」で計算する方法だ。
「送信数はインプレッション数ではない」とマースキー氏は話す。「私たちはいつも、受信したものの多くを削除している。私の受信トレイに入ったからといって、それがインプレッションになるとは限らない(中略)インプレッションとは、ピクセルが起動し、デバイスが広告にエンゲージした、または、広告を見たと記録されることだ」。[続きを読む]
The post 怪しい伝説「 ニュースレター 」編:クリックスルー率は本当にメールのパフォーマンス指標になるのか? appeared first on DIGIDAY[日本版].
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