
- RampID:LiveRampによって開発され、米国の広告主や広告バイヤーの間で採用が進んでおり、電通のクライアントにも多く採用されている。
- UID 2.0:確率論的IDとして、特に米国市場で広告主やバイヤーからの需要が高まっており、認証済みオーディエンスへのこだわりが好まれている。
- ATS:パブリッシャーがファーストパーティデータをリアルタイムでRampIDと紐づける機能を持つ、LiveRampの認証トラフィックソリューション
パブリッシャーのなかには、さまざまな広告識別子(ID)を試した結果、どれをサードパーティCookieの代替として優先的に利用するか、めどがついたという企業もあるだろう。
しかし、エージェンシー幹部たちは、広告バイヤーの支持が得られる代替IDの選定には「時期尚早」とみているようだ。
「特定のID技術を重視したり排除しない」
「現時点では、ひとつのIDソリューションに絞り込むつもりはない」と、電通のアドレッサブルメディア部門を率いるジョシ・ファン・デン・ボス氏は語る。「世界各国の大手広告主を多数クライアントに抱える我々としては、特定のID技術を重視したり排除したりせず、クライアントの要件に応じてカスタマイズしたソリューションを提供する必要がある」。
しかし地域によっては、比較的影響力があり採用率が高いIDソリューションが存在すると、ファン・デン・ボス氏は指摘する。たとえば米国では、電通のクライアントである広告主や広告バイヤーの多くが採用しているユニバーサルIDは、LiveRampが開発したRampIDだという。
今後、電通が全世界共通で1つか2つのCookie代替IDに絞り込むのに必要な条件は、「普及率と規模」だと、ファン・デン・ボス氏は主張する。ヨーロッパではいま、IDソリューションは数あれど、どれも採用が少なく、主流とはいえない。そのため電通では、自前のIDプラットフォーム「Merkury」を使って既存の各種IDに対応している。Merkuryでは約250件のデータ連携が可能で、当面、広告主が自社に適した代替IDを選んで自由に試験運用できる環境がととのえられている。
英国に本社をおくフューチャー(Future plc)でCROを務めるザック・サリバン氏は、米DIGIDAYの取材に応じ、同社では、特定の代替IDを「実装または規模拡大」してほしいという広告バイヤーからの要望が増えつつあると語った。フューチャーがここ数年、事業拡大を推し進めている米国市場では、広告主および広告バイヤーが認証済みオーディエンスにこだわりがあるためか、RampIDやUnifiedID2.0(以下UID 2.0)などの確率論的IDが好まれている。
定評のあるIDはどこか
30万を超えるサイトのドメインのモニタリングを実施しているデータサービス専門会社シンセラ(Sincera)の共同創業者、イアン・マイヤーズ氏によると、過去4カ月間にID5、UID 2.0、ライブランプの認証トラフィックソリューション(ATS)といった「すでに定評のある」CookieレスIDの採用が着実に増えているという。
ATSは、パブリッシャーが保有するオーディエンスのファーストパーティデータをリアルタイムでRampIDと紐づける機能をもつ。シンセラが現在、追跡把握している上位1万の広告つきサイトでは、プログラマティック広告運用になんらかの代替IDが実装されているが、これはつまり、パブリッシャー運営のサイトでも代替ID導入が進んでいる状態を示唆している。
一方、オーディジェント(Audigent)のHadronやサーティスリー・アクロス(33Across)の33Acrossなど、あまり知名度が高くないIDの採用も増えてきた。ただし、マイヤーズ氏言うところの「ブランドID」をしのぐほどには伸びていない。


オーディエンスデータをベースにしたソリューションとしては、決定論的IDが挙げられる。しかしキャンペーンで使用されるIDが何であれ、メディアバイを決定づける要因はそれだけではないと、ファン・デン・ボス氏はいう。「広告キャンペーンにはID以外にも、コンテクスチュアルデータ、パネルデータ、一般的なオーディエンスセグメントなど、さまざまな要素がからんでくる」。[続きを読む]
The post Cookie 代替ID 、絞り込みは時期尚早か。エージェンシー各社から「定評」のあったIDは? appeared first on DIGIDAY[日本版].
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