
Googleのことはしばし忘れよう。ChromeブラウザのサードパーティCookie終了で予期せぬ受益者となるのはAmazonかもしれない。
サードパーティCookieがなくなれば、Amazonは広告のターゲティングと効果測定を精密に行うことのできる数少ない大手プラットフォームのひとつとなる。
効果測定にフォーカスするAmazon
メディアの売り手にとっては強力なセールスポイントだ。広告事業の拡大で全社的な収益の強化を狙うならなおさらだ。Amazonはこの機会を追求するのにまったく躊躇がない。
しかも、Amazonの広告幹部と話をすれば、必ずと言ってよいほどサードパーティCookie(もしくは目前に迫るその廃止)に話題が及ぶ。
PMGでパートナー戦略の責任者を務めるサム・ブルーム氏はこう述べる。「広告業界はCookieの廃止、IPの廃止、さらにもっと大きな話としてはサードパーティアドレサビリティの終焉について考えをめぐらせている。そうしたなか、Amazonはひとつのプラットフォームを携えて顧客獲得と商品購入の両サイドに陣取っている」。
このことは最近のプレゼンテーション資料を見ても明らかだ。この資料では、Amazonの「耐久力のあるソリューション」に焦点が当てられ、サードパーティCookieに頼らないオーディエンスの測定ツールとして、「Amazonオーディエンス(Amazon Audience)」や「モデル化されたコンバージョン(Modeled Conversions)」などが紹介されている。
効果測定に焦点を当てることは実に賢明だ。ChromeからCookieがなくなれば、ターゲティングにはどんな影響が及ぶのか。確かに、誰もがパニック状態に陥っている。しかし、真の意味での変革はむしろ広告効果を測定する能力が削がれることで引き起こされる。なぜかと言えば、出稿した広告が期待通りの成果を上げているのか否かを検証できないなら、ターゲティングができたところで意味はないからだ。
独自の識別子でさらなる強化を図る
しかし、Amazonはそこで終わらない。この過渡期にさらに力をつけるためのより大きな計画を温めている。
その核心をなす部分は、おそらくID++と呼ばれるAmazon独自の識別子だろう。
Amazonは2021年以来、この識別子の開発に取り組んできた。パブリッシャーやアドテク企業への案内を始めたのはこの半年ほどのことで、具体的な話はまだ何も出てきていない。少なくとも、米DIGIDAYが取材した広告幹部2人からはこの話は出なかった。
何分にもまだ日が浅い。実際、アドエイジ(Ad Age)の報道によると、この識別子の開発を担当する社内チームを拡充するために、Amazonは新たな人材を探している最中だという。
言うまでもないが、現段階でこの識別子に関する詳細な情報は多くない。広告業界で囁かれるごく限られた情報によれば、Amazonのエコシステム専用の識別子となるようで、広告主はAmazonのDSPを通じてこれにアクセスし、パブリッシャーはパブリッシャーサービス部門を通じて利用するのだという。
この情報から察するに、AmazonはGoogleの「パブリッシャー指定の識別子(PPID)」または「暗号化されたシグナル」に近いものを準備しているようだ。こうした技術を活用することにより、パブリッシャーはオーディエンスの身元や特徴を漏らすことなくデータパートナーと連携できる。[続きを読む]
The post AmazonはサードパーティCookieの終焉にチャンスを見出す appeared first on DIGIDAY[日本版].
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