
魅惑的なハリウッドと抜け目ない立ち回りの広告業界――それはビジネス界の夢のコンビか、災い必至の顔合わせか。タレントエージェンシーのユナイテッド・タレント・エージェンシー(United Talent Agency、以下UTA)と、UTAが買収したマーケティングコンサルティング会社メディアリンク(MediaLink)の創業者でCEOのマイケル・カッサン氏との対立といった最近の出来事は、それが後者ではないかと思わせる。
このような組み合わせは破局に終わることで知られるが、その過程は通常、固く閉じられたドアの向こうで展開される。UTAとカッサン氏はそのお決まりのパターンを完全に打ち破り、両者の対立が裁判沙汰になっていることが業界誌で明らかになって以来、公の場で争いを繰り広げている。
だがこれは、華やかなハリウッドと実利主義のマディソンアベニューとが衝突し、避けられない破局へと必然的に進むというありがちなパターンに陥っているだけ、という面も多い。
臓器移植における拒絶反応
「臓器に対して体が拒絶反応を起こしているようなものだ。マイケル(カッサン氏)の流儀は、UTAの制度的なモデルには適合できない」と長年マーケティング業界でコンテンツエグゼクティブを務め、現在はスタグウェル(Stagwell)のブランドパフォーマンスネットワーク(Brand Performance Network)のグローバル最高コンテンツ&パートナーシップイノベーション責任者であるシャノン・プルイット氏は話す。
「今回の状況の微妙な点は、ハリウッドという制度から生まれた(タレント)エージェンシーモデルに持ち込まれたのが、エージェンシーから生まれた必ずしも合致しないまったく異なるビジネスモデルで、それが適合しなかったということだ」。
ほぼ例外はないにせよ、このようなパートナーシップの成功例は存在する。こう反論する人たちは、この2つの世界におけるシナジー効果の例として、ライアン・レイノルズのマーケティングエージェンシー、マキシマム・エフォート・プロダクションズ(Maximum Effort Productions)の成功を挙げるだろう。
この2つの世界のあいだで最初に本格的な衝突が見られたのは、ハリウッド最大規模のタレントエージェンシーとして知られるCAAの共同創業者のマイケル・オービッツ氏が1991年にマッキャンエリクソン(McCann Erickson)からコカ・コーラ(Coca Cola)の広告を奪ったときだった。当時はハリウッド主導による広告旋風を巻き起こすのではないかという期待があったが、実際には水滴が一滴一滴落ちていくような緩慢とした動きが進んでいる感じだ。2021年にUTAがメディアリンク買収を通して広告業界への参入を図るような事例がある一方で、この分野への参入拡大は極めて困難な挑戦となることも多い。[続きを読む]
The post ハリウッド と広告業界のパートナーシップが(一部の例外を除いて)うまくいかない理由 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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