
この10年から15年のあいだに、データがあらゆるマーケティング施策や広告活動の重要な要素へと進化したことは紛れもない事実だ。また、データ収集や分析の練度もホッケースティック曲線を描いて向上している。
アルン・クマール氏はメガエージェンシーであるIPGでデータ・テクノロジー部門の責任者を務めた人物だ。同氏はメディア売買の方程式にデータを導入するという一翼を担った重要な企業幹部のひとりだが、データをめぐるあらゆる取り組みに欠けている要素があるとすれば、それは倫理観だと考えている。
5月14日に発売された著書『The Data Deluge: Making Marketing Work for Brands and People』のなかで、同氏はデータやその収集・分析が洗練されていくにつれ、どこかで倫理が二の次になったことを論じた。
2023年の頭にIPGを去り、現在はコンサルタントとして活躍するクマール氏は「倫理観はむしろ卓越へと向かう大きな原動力となる」と話す。「我々は洗練されていくにつれ、できることに夢中になってしまった。本来ならば、自分たちのやっていることが本当にうまくいっているのか、そして訴求対象の人々のためになっているのかを考えなければならなかった」。
同氏の著書は、新たな顧客の発掘に注力する匿名の航空会社とエージェンシーが連携する様子を例に、データの使用と所有権をめぐって機能不全に陥るメディアエージェンシーとクライアントの葛藤についてその内幕を知る人物の視点で描かれている。「データの使用や所有権」という言葉については、エージェンシーやブランドが現実の顧客ニーズを無視するための常套句だとしてクマール氏は嘲笑している。さまざまな関係者による不当なデータ使用とその囲い込みは、消費者に大量のメッセージを浴びせかけ、消費者のブランド離れを引き起こす元凶になると同氏は指摘する。
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The post 溢れかえる データ によってマーケティングが失ったもの。「消費者について語りながら、実は興味はない」 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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