
- 日本の広告詐欺発生率は世界平均の2倍以上で、企業も無自覚に関与するリスクがある。
- 広告配信の仕組みが複雑化し、広告主が出稿先や費用の流れを把握しづらくなっている。
- 透明性の高い広告手法の導入や広告主の倫理意識向上が、エコシステム健全化の鍵となる。
ネット上の広告詐欺や詐欺広告が深刻化している。特に企業を脅かす広告詐欺の発生率について、日本は世界平均の2倍以上というデータも存在する。企業が気がつかないうちに不正な広告の配信に関与し、結果的に犯罪に加担してしまうケースも報告されている。この問題は、もはや他人事では済まされない。
3月13日に開催された、クオリティメディアコンソーシアム主催の「深刻化するネット広告の問題から企業を守るためには」では、デジタル広告を取り巻く課題についてメディア・企業・消費者の視点を捉えた議論を重ねた。
第8回となる今回は、同コンソーシアムで度々登壇している日本アドバタイザーズ協会(JAA)デジタル専門委員会の委員長である山口有希子氏を迎え、ネット広告における不正の現状と米国企業、マーケットとの比較を用いながら日本企業が取るべき対策について伺った。
世界で加速する広告詐欺
近年、詐欺広告や広告詐欺の被害が深刻化し、社会問題となっている。一般消費者が被害を被る詐欺広告に対し、企業が被害者となる広告詐欺においても、どちらも手口が年々巧妙になっている。たとえば、企業がメディアに掲載した広告がボット(機械)によって閲覧数やクリック数を不正に増やされ、不正な請求を受けるケースのほか、企業のブランド価値を損なうような不適切なメディア(アダルトサイトなど)に、知らないあいだに広告が掲載されてしまう問題も発生している。
最近では、MFA(広告収益を不正に得るためのサイト)が増加し、AIの発達によりその手法は巧妙化し、被害の拡大が懸念されている。こうした広告詐欺サイトによる世界の被害金額は年間13兆円にも及ぶとされる。

資料より抜粋(クリックして拡大)
実際、大手企業の名前を悪用した詐欺広告や、不適切なサイトへの広告掲載が多発している。これについて、山口氏は「単に広告部門のレギュレーションの問題ではない。組織の上層部がコンプライアンスの観点から真剣に対応すべきだ」と警鐘を鳴らす。[続きを読む]
The post 広告詐欺は防げるのか。 山口有希子 氏が語る、米国事例に見る広告マーケットの健全化とは? appeared first on DIGIDAY[日本版].
Source: New feed
