
- ワシントン・ポストとOpenAIの契約では、学習利用よりもAI検索上での可視性確保が重視された。
- 近年の契約では、学習データ利用の明記が減少し、出典表示やリンク掲載を重視する傾向が強まっている。
- パブリッシャーはAI検索経由でのトラフィック流入や新たな収益機会を期待し、契約条件の重心が変化している。
AIコンテンツライセンス契約の進化
ワシントン・ポストが、オープンAI(OpenAI)とのライセンス契約を締結した最新の大手パブリッシャーとなった。これにより、オープンAIと契約を結んだニュース組織は20社以上に拡大した。
これはよくあるパターンだ。オープンAIは数ヶ月ごとに新たなパブリッシャーと契約を締結し、コンテンツ供給体制を強化してきた。ただし、こうした契約の条件は静かに変化しているように見える。以前の契約で明確に記載されていた学習データに関する文言が薄まりつつあり、これらのパートナーシップの意味について新たな疑問が生じている。
ワシントン・ポストとの契約は、ニュース関連の検索に対して同紙のコンテンツが表示されることに重点を置いている。4月22日に発表された契約に関する声明には、「このパートナーシップの一環として、ChatGPTは関連する質問に対し、ワシントン・ポストの要約、引用、およびオリジナル記事へのリンクを表示する」とある。一方で、2023年12月と2024年6月に締結されたアクセル・シュプリンガーやタイム(Time)との契約には、オープンAIが両社のコンテンツをLLM(大規模言語モデル)の学習に使用することが明記されていた。
2025年2月に発表されたガーディアンとオープンAIの契約にも、ワシントン・ポストと同様の文言が用いられ、学習データに関する記載はなかった。ガーディアンの広報担当者は契約条件についてのコメントを控え、ワシントン・ポストもコメント依頼に応じなかった。
学習データより可視性を重視する流れに
このような契約文言の微妙な変化は、AI業界全体の構造的変化を示している可能性がある。4人のメディア法専門家との会話からは、今後のAIコンテンツライセンス契約のあり方が変わっていく可能性があり、パブリッシャー側はモデルの学習用データとしての使用権よりも、AI検索エンジン上での表示順位や出典表記の優先を重視した契約を求めるようになるかもしれない。
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The post オープンAI 、ワシントン・ポストと契約 LLM学習から検索での表示へと軸足が移る appeared first on DIGIDAY[日本版].
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