
- セレブやクリエイターたちは、自身のブランド構築を進め、CESなどのイベントでマーケティングやテック起業家への自身の売り込みを行っていた。
- オムニコムはAmazonとの提携により、インフルエンサー/クリエイターの活用法と効果測定に関する強化を図った。インフルエンサーコンテンツの効果を評価し、トラッキングする力が向上を目指す。
- オムニコムのクライアントは、この新しい能力を活用することに期待しており、特にCPG、リテール、コマース関連のクライアントが最初に利用する可能性が高いとされている。
テックとハリウッドの両世界は互いにかけ離れていると見えるかもしれないが、今年2024年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、スタートアップ起業家やテック界の億万長者と同じくくらい頻繁に、セレブやクリエイターに出くわすことになった。
何年も前から、この一見別物の両世界は着実に距離を縮めてきたが、今年のCESでは完全に混じり合った。昨今はセレブやクリエイターまでもが、公人というだけでなく、大半は既存のフォロワーとコミュニティを擁する独自のメディアブランドと見なされている。となれば、彼らブランド勢の次なる進化がCESといった場におけるマーケターやテック起業への自らの売り込みであるのは明らかだ。
ラスベガス大通りで毎年開催されるこの会合は、テックおよびエンターテインメント界のエリートらにしてみれば、自身の最新投機を知らしめる格好の場であり、場合によっては、新年度における新たな契約の種を蒔くこともできる。実際、マーケティング革新の展示場、Cスペース(C Space)はこうした衝突の震源地となっており、ロバート・ダウニー・Jr氏やエヴァン・シュピーゲル氏といった大物たちがそれぞれに存在感を放っていた。そして予想どおり、大半の動きはコンサルティング企業のメディアリンク(MediaLink)のステージで起きた。
セレブやクリエイターたちの参戦
「CESには自身のブランド構築を始めているセレブやクリエイターたちが大勢いる」と、メディアリンクのストラテジックアドバイザリー部門VPデヴィッド・マルドゥーン氏は話す。「彼らにはたとえば、売り込みたい自身のエージェンシーがある。彼らは自身の会社を持ち、クリエイターエコノミーへの本格的参入を望んでいる人々だ。彼らはおそらく自身のエージェンシーを有して各々の名声をブランド構築に役立てたいと考えているのだろう」。
ウィル・アイ・アム氏(高名なラッパー、シンガー、ソングライターというだけでなく、クリエイティブのためのプロジェクトツール、FYI.AIの創業者兼CEOでもある)もまた、ザ・パーマー・グループ(The Palmer Group)CEOのシェリー・パーマー氏とステージに上がり、ブランド・イノベーターズ・サミット(Brand Innovators Summit)セッションの一環として開かれた座談会に加わった。今回、ウィル・アイ・アム氏のCES参加目的は、メルセデス(Mercedes)と組んでローンチした新商品MBUX Sound Drive(車の運転に反応して音楽を変えるソフトウェアを利用したテクノロジー)の販促だった。
ウィル・アイ・アム氏いわく、「運転するたびに曲が変わる。2002年、メルセデスに初めて売り込んだときから、これはいけると思ってはいたが、正直、メルセデスが『実現させてみよう』と言ってくれるとは思っていなかった」と語り、こう言い添える「メルセデスのような会社と組めばわかる、彼らはまさに最高のエンジニア集団だ」。
ウィル・アイ・アム氏のような者たちは長年、自身の運命の舵を自ら握ろうとしており、たとえば制作会社、テックスタートアップなどを興したり、あるいは新進テクノロジーを自身の芸術作品にどう利用できるのかを考えたりしてきた。ミュージシャンやアスリートはつまり、自身の手でコンテンツを創り、ファンベースを自ら築き、自身のオーディエンスから直接収益を得られることに気づいている。言い換えれば、彼らは自らの力だけでクリエイターかつインフルエンサーになりつつある、ということだ。
たとえば、セレブシェフでモクバー(mŏkbar)およびモクバー・ブルックリン(mŏkbar Brooklyn)の経営者であるエスター・チェ氏は、Wi-Fiで繋がる調理器具カレント・モデルGデュアルゾーン・グリル(Current Model G Dual-Zone Grill)の販促の場、カレント・バックヤード(Current Backyard)のブースに現れた。そして、その新製品で独自の料理を作り、自身の腕前を披露した。
クリエーターとの距離も密接になる
一方、クリエイター勢は反対に、デジタルプラットフォームを利用して大勢のフォロワーと巨大なファンベースを築くことで、セレブになりつつある。彼らはもはや、舞台を陰で支える裏方ではない。影響力のある存在として、自らがスポットライトのなかに歩み出ようとしている。
パリス・ヒルトン氏はその典型例だ。いわゆるOG(オリジナル)インフルエンサー(自身のメディア企業11:11 Mediaを有し、家庭用品やグッズ、ペットウェアや香水など、多岐にわたるブランドを持つ)はまたもCESに、今年はオムニコム(Omnicom)の招待者限定のショー、ザ・トランスフォーメーション・エクスペリエンス(The Transformation Experience)にてシェリー・パーマー氏とデヴィッド・シン氏、別名「シンギー」(オーストラリア人で、AOLでさまざまな要職を務めてきたマーケティング界の要人)とともに登場した。
「ブランド勢はトレンドを敏感に察知し、めまぐるしく移り変わるカルチャーとともに動くため、クリエイターをどう利用するべきか考察している。ブランドが超光速で回転するトレンドサイクルに付いていくには、次なるトレンドをソーシャルでブレイクする前に同定することが必須であり、それが成功およびバズりの絶対条件となる」と、インフルエンサーマーケティング企業インフルエンシャル(Influential)のCEOライアン・ディタート氏は話した。続きを読む]
The post CESでの存在感を増していたセレブとクリエイターたち。「彼らは自らの力でブランドを確立しつつある」 appeared first on DIGIDAY[日本版].
Source: New feed
