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Cookie 廃止がもたらす広告業界再編。飲み込まれ消える企業はどこか

記事のポイント

  • Cookieの影響により広告業界全体に再編が起こる可能性があると予測されており、業界では既にM&Aの噂が広がっている。
  • M&A候補企業の評価はデータセットの質やAIの関与などが焦点とされており、プライベートエクイティなどが活発に動くと予測される。
  • 得意分野が代替ID技術であれ、コンテクスチュアル広告であれ、Cookieなしの世界でターゲティング、分析、アトリビューションの精度を維持しなければならないという課題をベンダーは抱えている。

Cookieの終焉にともない、広告業界では経営統合や買収など、再編が起こりそうだ。

今年2024年上期には大きな動きはないと予想する者もいるが、Googleが1月、Chromeブラウザの一部ユーザーを対象にCookieを無効化するテストを開始したことからも、遅かれ早かれ、その影響は業界全体に及んでいくだろう。企業はCookieの完全廃止にそなえ、広告収入を得る新たな手段を確保しなくてはならない。

こうした大きな環境変化をチャンスととらえてイノベーションを起こし、繁栄につなげられる企業もあるだろう。しかし一部の企業にとっては耐え難い嵐になる。追いつめられての吸収合併、あるいは敵対的買収、事業閉鎖の可能性も考えられる。業界内では当初、Cookie廃止の実現に対し懐疑的な見方が大勢を占めていた。買収の機会をうかがう数社の企業は様子見を続けていたが、環境が整いつつあるいま、低金利をてこに、魅力的かつ金銭的に見合う案件探しを今年下半期に向けて活発化させている。

M&Aの動きが活発に

業界再編の今後は予測しがたいものがあるが、すでにさまざまな噂が飛び交っている。しかも単なる暇つぶしの話題より具体的で、アドテク上場企業数社を中心に憶測が広がっている。

例をあげると、過去12カ月のあいだに会社売却の可能性もささやかれていたライブランプ(LiveRamp)が1月17日、データクリーンルーム事業のハブ(Habu)を買収すると発表した。

ライブランプが現金と株式交換合計で約2億ドル(約300億円)を支払うこの取引により、両者は「各種クラウドとウォールドガーデンを横断したグローバル規模のデータコラボレーションを実現する相互運用プラットフォーム」の構築を目指し、アイデンティティおよびコネクティビティ分野の中核ソリューション普及をさらに進める原動力とするという。

1月17日にライブランプが発表したプレスリリースで、同社CEOのスコット・ハウ氏は次のように述べている。「この買収を通じ、我々は顧客支援をさらに強化していく。インサイトやユースケース等のデータを測定ツールとシームレスに連携し、顧客が選んだプラットフォームとパートナーによる収益機会の提供を目指す」。

アドテク上場企業のヴァーヴ・グループ(Verve Group)とヴァイアント・テクノロジー(Viant Technology)もまた、M&Aに積極的な姿勢を見せている。ある情報筋によるとこの2社はそれぞれ2023年後半、DSP事業者のメディアマス(MediaMath)の破産申請に先立ち、同社と個別の買収交渉に入ったとされる。ほかにも今後、メディアマスの買収に名乗りを上げる企業が出てくる可能性も十分ある。

M&A対象はどんな新興ソリューションか?

一方、ほかの情報筋によれば、波乱続きの2021年にIPOの目論見書(Form S-1)を証券取引委員会に提出しながら上場を果たせなかったアドテク企業が複数ひかえているという。

たとえば、フランスの通信会社アルティス(Altice)傘下のティーズ(Teads)は2021年、時価総額50億ドル(約7400億円)を目指してナスダック(NASDAQ)上場を計画していたが、承認前の機関投資家向け説明会で好感触を得られず、上場計画を延期した

その後、2023年9月の報道によると、「アルティス(Altice Group)とトレマー・インターナショナル(Tremor International:同年ネクセン・インターナショナル[Nexxen International]に社名変更)のあいだで事業統合の議論が進んでいた。

ところが米DIGIDAYが新たに入手した情報では、ティーズは2023年、銀行からの助言を得て資産売却に関する戦略オプションを検討した結果、本取引に対する熱意が揺らいだようだという。

こうした契約交渉の議論に巻き込まれているのが、AIによるオーディエンスデータとターゲティング技術専門のディースティレリー(Dstillery)のCEO、マイケル・ビーブ氏だ。ニューヨークに拠点をおく同氏は、Cookie廃止による難局を切り抜けようとM&Aに意欲を燃やす複数の企業との話し合いの渦中にある。とはいえ、ビーブ氏にディースティレリー売却の意思があるわけではない(同社は非上場)。

戦略的買収者やプライベートエクイティ投資家など、パートナー契約や買収の可能性を探ろうとする交渉相手との会話は、ビーブ氏にとって知見の宝庫であり、今後の市場動向を占う鍵となるという。「M&Aの活発化は、大手企業が自社に足りない技術を補おうとするときか、競合が持っていない技術で差をつけようとするときに起きる」とビーブ氏は語る。「今後、M&Aの対象候補で優先順位がもっとも高くなるのは、実行可能性と拡張性が実証済みの新興ソリューションだろう」。[続きを読む]

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