
今夏、いやここ数年、デジタルメディアの世界にとって決して平穏な日々とは言えない状況だった。ニュースが飛び交うなかで、明確な定義の有無を抜きにして、新たな専門用語が次々と登場している。
しかし、もう恐れることはない。今回は変化し続けるメディア業界における業界人たちの会話で実際に使われている専門用語の最新ガイドを紹介する。
AIレベシェア
意味:AIテック企業がいままさに展開しているパブリッシャーとのレベニューシェアプログラムのこと。コンテンツライセンス契約と混同しないように。このプログラムでは、検索エンジンによってパブリッシャーのコンテンツがアクセスされた場合、そこに掲載された広告から得られた売上の一部がパブリッシャーに与えられる。
重要な理由:著作権で保護されたコンテンツの公正な使用をめぐっては、いまも生成AI企業とパブリッシャーのあいだで論争が続いている。その一方で、一部のAIベース検索エンジンはメディア企業のご機嫌を取る方法のひとつとして、著作権で保護されたコンテンツの使用によって発生する収入の一部をメディア企業に与えることを約束している。タイム(Time)やザ・テキサス・トリビューン(The Texas Tribune)など一部のパブリッシャーは早々に契約を結んでいるが、このレベシェアに対して自分たちのコンテンツの価値を過小評価する契約と感じているパブリッシャーもなかにはある。いずれにせよ、このモデルが関心を集めている理由は単純だ。パブリッシャーの取り分は一切ないというパブリッシャーと検索エンジンのこれまでの力関係が、これによって一変するからだ。
反トラスト法
意味:独占の形成を防止・阻止するための規制。
重要な理由:新しい言葉ではないが、メディアや広告の世界において、反トラストをめぐる訴訟や申し立ては今年の8月だけでもかなりの数に上っている。検索エンジンとしての優位性を維持しようとして反トラスト法違反を犯したとして、米司法省がGoogleに対して起こした訴訟では、後者に有罪の判決が下された。また、イーロン・マスク氏のソーシャルメディアプラットフォームであるXも、責任あるメディアに向けた世界同盟(Global Alliance for Responsible Media:GARM)がXの広告売上に制限をかける反トラスト的行為を行っているとして、同業界団体を相手取って訴訟を起こした。さらには、米上院議員のエリザベス・ウォーレン氏とバーニー・サンダース氏、下院議員のホアキン・カストロ氏も、ディズニー(Disney)とフォックス(Fox)、ワーナー・ブラザース(Warner Bros.)が共同でローンチを進めているスポーツストリーミングプラットフォームのベニュー(Venu)に対して、反トラスト法違反の調査を求めている。
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The post DIGIDAY的 メディア業界 用語集:2024年版 【Vol.1】 appeared first on DIGIDAY[日本版].
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