
- アダリティクス・リサーチの最新レポートにおいて、Google検索パートナー(GSP)ネットワークにおける検索広告の透明性の不足とブランドセーフティの懸念が指摘された。
- アダリティクスは、Googleの主力プロダクトであるP-MAX(パフォーマンスマックス)が透明性に欠ける「ブラックボックス」であると主張している。
- 一方でGoogleは、レポートは不正確であり、Googleの製品について事実と異なる誇張された主張が含まれていると反論している。
アダリティクス・リサーチ(Adalytics Research)が、Google検索パートナー(GSP)ネットワークの複雑な仕組みに切り込むレポートを発表した。「透明性の欠如は、検索広告主のブランドセーフティにおいて懸念材料になるか? (Does a lack of transparency create brand safety concerns for search advertisers?)」と題して、マーケターに問いを投げかけている。
レポートが示唆するのは、マーケターがGSP(Googleのコンテンツ発見およびマネタイズツールを利用する何千ものサイトからなるネットワーク)を介して広告を予約する場合、ブランドセーフティ的に問題のあるコンテンツと並んで広告が表示されるリスクを負うことだ。
米国時間11月28日に発表されたレポートによると、GSPのネットワークには、海賊版コンテンツや露骨なアダルトコンテンツを含むWebサイトのほか、イランの組織が運営すると推定され、米財務省外国資産管理室(OFAC)の制裁対象となり得る数百のWebサイトが含まれるという。
リスクに晒されるブランド
一方、以前に「ブライトバート(Breitbart)」をブロックリストに追加したBMWなどのブランドが、GSPネットワークを通じて、このいわゆる「オルタナ右翼」系Webサイトと呼ばれる保守系Webサイトに広告を表示している事例も観察されている。こうしたサイトから広告を引き揚げるブランドの決断は、かつて大きな注目を集めたこともある。

保守系Webサイトに広告を表示している事例。
レポートによると、何百もの優良ブランド(多くは全米広告主協会の会員でもある)や組織(欧州委員会、米財務省、複数の米政治家の選挙陣営など)が、制裁対象であるイランやアダルト系のWebサイトに広告掲載されていたことが確認されている。
これとは別に、アルコールや菓子ブランドの広告が、GSPネットワークを介して未成年者をターゲットにしたWebサイト上で表示されていたことも確認されている。子ども向け検索エンジン「キッズサーチ(Kidzsearch)」はその一例にすぎない。このような事例がみられた菓子ブランドのなかには、子どもの健康増進を掲げる自主規制プログラム「子ども向け食品・飲料広告に関するイニシアチブ(Children’s Food and Beverage Advertising Initiative)」の署名企業も複数混じっていた。

アルコールや菓子ブランドの広告が子ども向け検索エンジン「キッズサーチ(Kidzsearch)」で確認される。
ブラックボックスの存在
アダリティクスは複数の事例において、問題のサイトへのブランド検索広告の配信に用いられていたのがGoogleの主力プロダクトのひとつ、パフォーマンスマックス(Performance Max)であることを確認した。「P-MAX」の略称で知られるこのツールは、2021年末に広く提供開始となったパフォーマンス型広告プロダクトだ。AIを用いて、さまざまな広告フォーマットや環境で広告キャンペーンを最適化する。
Googleの公の主張とは裏腹に、P-MAXは本質的に「ブラックボックス」な製品と見る向きが多い。バイヤーからはしばしば、広告がどこに掲載されたのか、キャンペーン後のレポートでほとんど知ることができないとの声が聞かれる。
アダリティクスのレポートに引用されたコメントによると、オランダの欧州議会議員ポール・タン氏は、レポートの調査結果を理由に、政府は大手テック企業のアルゴリズムがどのように運用されているかを調査すべきだとして、次のように述べている。「我々は歴史上初めて、AIが犯罪を犯す不安に駆られる現実に直面している。Googleの広告アルゴリズムは精査が必要だ」。
また、タン氏は「このレポートは、非常に不都合なダブルスタンダードを明らかにしている。(欧州)委員会の広告が、制裁対象のロシアやイランの企業のWebサイトに表示されることで、委員会は、自らが提案した制裁を否定している可能性がある」と述べる。[続きを読む]
The post Google の検索広告における圧倒的な透明性の不足。P-MAXも「ブラックボックス」の塊か appeared first on DIGIDAY[日本版].
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