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Spotify ビデオポッドキャストプログラム 独立系クリエイターを魅了する報酬モデルの裏側

記事のポイント

  • Spotifyのパートナープログラムは、YouTubeを上回る収益を得るインディペンデント系クリエイターを中心に支持を集めている。
  • 一方で、大手ポッドキャストネットワークはダイナミック広告収益を維持するため、SPP参加に慎重な姿勢をとっており、業界内で分断が生じている。
  • Spotifyは動画消費の成長を背景に、SPPによる新たな収益機会の提供を強調しており、今後さらに多様なクリエイターの参加が見込まれる。

Spotify(スポティファイ)のパートナープログラム(Spotify Partner Program、以下SPP)は、直接報酬を重視するインディペンデント系ポッドキャストクリエイターから好評を集めている一方で、大手ポッドキャストネットワークは慎重な姿勢を崩していない。主な理由は、サブスクライバー限定コンテンツにおいてダイナミック広告が対応していない点にある。

Spotifyは2025年1月にSpotify パートナープログラム(Spotify Partner Program、以下SPP)を立ち上げ、従来は音声のみだった同プラットフォームで動画コンテンツの共有が可能になり、クリエイターは広告収入やプレミアムサブスクリプション収入の一部を受け取ることができるようになった

なお、Spotifyは具体的な報酬配分を公表していないが、問い合わせがあったクリエイターには概算を案内しているという。

2つのクリエイター層の分断

ローンチから6カ月が経過した現在、ビデオポッドキャスターは2つのタイプに分かれている。ひとつは、直接報酬を目的にビデオ形式を積極的に活用しているインディペンデント系の個人クリエイター。もうひとつは、ネットワークに属し、既存の広告収益構造を重視しているポッドキャスターである。

後者は、サブスクライバー限定の動画配信がダイナミック広告収入を減少させる可能性を懸念しており、様子見の立場をとっている。

こうした立場の違いは、主にダイナミック広告から得られる収益の存在による。多くのポッドキャスターにとって、シンプルキャスト(Simplecast)やSpotify傘下のメガフォン(Megaphone)といった配信ツールを通じたダイナミック広告収益は、重要な収入源となっている。

しかしSPPでは、プレミアムサブスクライバーが動画を視聴する際にダイナミック広告を配信できないため、この広告収益の確保を優先するネットワーク系クリエイターは、引き続きオーディオ形式での配信を選んでいる。

ポッドキャスト専門エージェンシーであるトゥルーネイティブメディア(True Native Media)の創業者、ヘザー・オズグッド氏はこう語る。

「MP4でアップロードすると広告が入れられなくなる。でもSpotify側は『再生回数に応じて支払う』という立場。私は広告の販売をしているのであって、再生回数の販売をしているわけではない。だから、それではまったく意味がないんだ」。

参加を躊躇するポッドキャストネットワークとその理由

ポッドキャストネットワークが、ダイナミック広告収入を犠牲にしてまでSPPに参加するのをためらっているのは、業界内では公然の秘密だ。

米DIGIDAYの取材に対し、トゥルーネイティブメディアのオズグッド氏を含む、4人の大手ポッドキャスターおよびネットワーク幹部が、広告収益の維持を理由に、意図的に同プログラムへの参加を見送っていることを明かしている。4名ともSpotifyとの関係悪化を避けるため、匿名を希望している。

あるポッドキャスト幹部は、「Spotifyはポッドキャスト消費のかなり大きな割合を占めており、これを手放すと広告機会が5〜50%失われる可能性がある」と述べた。つまり、これは非常に重要な収益源を手放すことを意味する。

このように、Spotifyが広告収益化に与える影響についての懸念は、インディペンデント系クリエイターよりも、むしろネットワークや経営層から強く出ており、結果としてネットワークに属する個々のポッドキャスターの動画参入にもブレーキをかけている。

実際、YouTubeのトップポッドキャストランキングを見ると、Spotifyの動画プログラムへの参加可否に対する方針が、ネットワーク単位で分かれている様子が浮かび上がる。

上位10の番組のうち、「ザ・ジョー ローガン エクスペリエンス(The Joe Rogan Experience)」「マイダスタッチ(The Midas Touch)」「ショーン ライアン ショー(Shawn Ryan Show)」ステファニー スーズ(Stephanie Soo)の「ロッテンマンゴ(Rotten Mango)」「ディス パスト ウィークエンド ウィズ テオ ヴォン(This Past Weekend w/ Theo Von)」の5番組がSPPに参加している。

そのうちネットワークに属するのは「ショーン ライアン ショー」と「ロッテンマンゴ」で、「ザ・ジョー ローガン エクスペリエンス」はSpotifyと独占契約を締結、「マイダスタッチ」と「ディス パスト ウィークエンド ウィズ テオ ヴォン」はインディペンデント系だ。一方、動画配信を行っていない「48アワーズ(48 Hours)」のような番組は、CBSニュースといった大手ネットワークに所属している。

別のポッドキャスト会社幹部も、「我々はSpotifyの進める方向性に満足していない。当社はオーディエンスを広げ、広告付きの形でコンテンツを収益化することをめざしている。だがSpotifyのKPIはプレミアムサブスクライバーであり、我々の広告ベース戦略とは根本的に一致しない」と語る。

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