
もしTikTokが米国で禁止されたら、広告ビジネスを牽引している大金はどうなるのか?
この問いはこれまでにも度々投げかけられてきたが、その答えをこれほどまでに迫られたことは、おそらくいまをおいて他になかっただろう。
3月13日に下院で取られた採決の結果、米議会がTikTokの禁止へと一歩近づいた。これを上院が承認すれば、米国内でTikTokを配信することもホストすることも違法となる。オーナーである中国企業のバイトダンス(ByteDance)がTikTokの株を売らないかぎり、1億7000万人に上る米国のユーザーは、同アプリを実質的に使えなくなってしまうのだ。今後の展開のカギは、いくつかの要因が握っている。
上院とバイトダンスの動き次第
ひとつは、上院がこれをどう捉えているのかだ。この法案の運命は上院の手に握られているわけだが、いまのところ、彼らがどのような反応を示すのかはよくわかっていない。
バイトダンスの反応も同じく不確かだ。中国でもっとも革新的な企業のひとつといえども、それが米国の要求なら飲むしかないという、この動きをめぐる世論があるなか、バイトダンスが売却をあっさりと受け入れるのかは、依然として不明なままだ。
こうした要因をすべて考慮に入れると、TikTok禁止法の成立は、非現実的ではあるものの、絶対にないとまでは言い切れない。TikTokの未来にマーケターたちがどんな懸念を抱いてきたにせよ、その懸念はこれまで以上に現実味を帯びるようになっている。
TikTokをめぐる緊張が高まる
ニュー・エンゲン(New Engen)でデジタルマーケティング担当バイスプレジデントを務めるケビン・グッドウィン氏は、「我々の視点から見ると、この禁止法は本物の脅威に思える。以前なら『とりあえず様子を見よう』だったが、さすがの我々も今回は違う。これがもたらす影響とその結果についての話し合いを始めつつある」と述べ、多くのクライアントも不安を感じていると吐露した。
グッドウィン氏は、通常なら、いわゆるコンティンジェンシープラン(緊急時対応プラン)を立てているときにしか聞かれないような質問を見越して、この脅威の矢面に立とうとしている。禁止法が成立したら、自分たちの会社の成長はどんな影響を受けるのか? 「クラアントが聞いてくるのはこれだ」と、同氏は話す。その結果、自社の戦略を練り直す必要があるのかを、彼らは知りたいのだろう。その反応によっては、先手を打って悪影響を和らげる方法を求めてくる可能性もある。要するに、ここ最近は、TikTokというトピックをめぐる緊張が確実に高まっているのだ。
デジタルマーケティングエージェンシーであるリアクト(re:act)のマネージングパートナー、トム・ストーン氏も、この緊張感を熟知している。「準備は万端だ。我々はこの3~6カ月間、ずっとこれに備えてきた」と同氏は語り、こう続ける。
「TikTok・オールウェイズ・オン(TikTok Always On:短期間のキャンペーンではなく、コンテンツを連続して次々に作成する必要がある)も、流すのに莫大なコストがクライアントにかかる。途轍もない量のコンテンツが要求されるからだ。正直なところ、予算の観点から見て、むしろほっとするクライアントもいるかもしれない」。ただし、同氏の口から予算の正確な額は明らかにされなかった。[続きを読む]
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