
- 仮想現実(VR)は数十年前から存在しているが一般消費者にはまだ広まっておらず、AppleのVision Proが流行の兆しを作るのか注目が集まっている。
- Vision Proはゲーミング機器としてではなく、エンターテインメント機器として位置付けられており、ブランド勢にとって現状は対面アクティベーションを通じた活用が効果的と考えられている。
- Vision Proは強力なアイトラッキングやモーションコントロールを持っているが、そもそも重たいヘッドセットの長時間の装着は利用者にとって負担が大きい、という課題を抱えている。
2月2日付けで、AppleのヘッドセットVision Pro(ビジョン・プロ)が公式発売された。素晴らしい製品であることに疑いの余地はないが、これが仮想(もしくは複合)現実の一般化を本当に後押しできるのか、審判はまだ下されていない。
仮想現実(VR)は何十年も前から存在し、メタ(Meta)のヘッドセット、クエスト2(Quest 2)といった安価な家庭用機器も出回っているが、消費者にはさほど広まっていない。
2007年にiPhoneの登場がスマートフォン革命を起こしたように、VR伝道者らは何年も前からAppleの複合現実ヘッドセットの登場が、米消費者にVRを一気に普及させる「転機となる」と訴えてきた。だが、Vision Proは本当に複合現実(MR)の救世主なのか、観測筋はいまだ見方を決めかねている。AppleのヘッドセットVision Proの発売がゲーミングおよびメタバース界をひっくり返す可能性はあるのか――あるいはないのか――以下で簡単にまとめた。
鍵となる数字
テクノロジー製品のレビューを行うセキュリティ・ドット・オルグ(Security.org)の「仮想現実の認識および受け入れに関するレポート(Virtual Reality Awareness and Adoption Report)」によれば、2024年1月時点で約5300万人の米国人がVR機器を所有しているという。この数字は米消費者の約23%に相当するが、これにはメタのクエスト(Quest)や、ソニー(Sony)のプレイステーションVR(PlayStation VR)、HTCのVive(ヴァイブ)といったゲーム専用のVR機器も含まれる。ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)の報道によれば、2022年10月時点で、クエスト2の月間アクティブユーザー数は600万人だった。
報道によれば、Vision Pro機器の事前販売数は20万台以上で、一台の定価3500ドル(約52万円)で計算すると、収益はすでに約7億ドル(約1040億円)に上る。Appleにとっては期待の持てる数字だが、iPhoneといった他のApple製品がこれまでに記録してきた何百万台という事前販売数には遠く及ばない。
Vision Proの定価3500ドルという高価格には理由がある。最新のハードウェアが詰まっており、一説には、製造費が約1600ドル(約24万円)とも言われている。メタクエストの3倍だ。[続きを読む]
The post Vision Pro はデジタルマーケティングにiPhone革命を再現できるのか? appeared first on DIGIDAY[日本版].
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